2011 Fiscal Year Annual Research Report
柔軟体の変形を積極的に利用する移動機構の巧みさの解明
Project/Area Number |
21760210
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
柴田 瑞穂 近畿大学, 工学部, 講師 (70454519)
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Keywords | 知能ロボティクス / 知能機械 |
Research Abstract |
平成23年度の目標は,テンセグリティ構造体による外殻変形を利用した移動機構に対する動力学的な解析手法を確立することである.また,解析結果から,外殻変形を利用する移動機構の変形方法についての知見を得る.そのために以下の課題を遂行した. ・テンセグリティ構造体のモデル化および運動方程式の導出 ・連続転がり移動の実現 テンセグリティ構造の運動方程式をエネルギーの観点から検討した.テンセグリティロボットと平らな床との接触は,テンセグリティロボットに幾何学的制約を課すことを意味する.テンセグリティロボットの安定状態では,幾何学的制約を満たしテンセグリティの内部エネルギーが極小となる.すなわち,内部エネルギーに未定乗数と幾何学的制約との積を加えた関数の最小化により,安定状態を計算することができる.床面の法線に沿う幾何学的制約は単方向制約であり,垂直抗力に対応する未定乗数の値は非負でなくてはならない.ここで,テンセグリティ構造に何らかのアクチュエータで力を加えると,内部エネルギーに影響し,結果として未定乗数の値が変わる.垂直抗力に対応する未定乗数の値が負となると,その単方向制約は失われ,結果として接触が失われる.これにより安定状態から不安定な状態に遷移し,さらに別の安定状態に遷移する可能性が生じる.すなわち,安定状態から別の安定状態への遷移は,途中に不安定な状態と運動方程式に課せられる幾何学的制約の位相的な変化を含む.本年度では,完全な運動方程式の導出には至らなかった.しかしながら,導出への道筋は明らかになった.また,ロボット自体の大きさを拡大させるために,空気圧アクチュエータを利用した実機を製作した.この実機を利用して,転がりを実現するためにどれくらいの空気圧が必要であるかを実験的に調べ,一度の試行で面対称接触→軸対称接触→面対称接触が実現させる遷移が連続的な転がりに適切であることを示した.
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