2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21760222
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Research Institution | Nara National College of Technology |
Principal Investigator |
石飛 学 Nara National College of Technology, 電気工学科, 准教授 (60390481)
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Keywords | 誘導加熱 / スイッチング電源 / 磁界解析 / 渦電流解析 / 被加熱物体の磁性 |
Research Abstract |
IHクッキングヒータは、オールメタル対応モデルの登場とオール電化住宅の波に乗り、近年身近な家電製品へと成長した。しかし、現在世に出ているものはアルミ、銅や非磁性ステンレスを材質とした被加熱物に対して加熱効率が低く、本来の特性を発揮できていない。誘導加熱に時間を要するこれらの材質は熱伝導率が高く、またアルミにおいては軽くて加工が容易な上錆びにくいといった特徴をもつことから鍋やフライパンに非常に適しており、IHの高効率加熱化が待望されている。 この課題に対し、発生磁束を高周波化して表皮効果を起こし、渦電流密度を高めることで加熱効率を上げる方法が提案されている。しかしながら、これまで非磁性を示す被加熱物も磁性体と同様に扱われており、磁束分布や渦電流分布の違いについて考慮が足りない。このため、IH用インバータの出力に求められる要求も明確になっておらず、この点を明らかにすることが高効率加熱への第一歩と考えられる。 そこで、昨年度はまず被加熱物に適した材質について比透磁率、抵抗率、熱伝導率及び錆の各項目ごとに再調査をし、整理を行った。つぎに、IHクッキングヒータを模擬した実験装置を製作し、被加熱物の代表例である鉄とアルミニウムを用いて、磁性の有無が加熱過程に及ぼす影響を調査した。複数の測定方法を試したところ、サーチコイルを用いた磁束分布の測定とサーモグラフィを用いた渦電流分布の測定が有効であることがわかった。これらの測定をもとに解析を行った結果、磁性体中では、磁束が鍋底中心から縁へ向かって放射状に広がり、周波数依存性が低いことがわかった。一方、非磁性体中では周波数が高くなると表皮効果が現れ、鍋底の縁に磁束及び渦電流が集中することがわかった。これは、これまで考えられてきた高周波化による加熱効率の改善を否定する結果であり、より詳細な調査を継続する必要がある。
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Research Products
(1 results)