2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21760222
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Research Institution | Nara National College of Technology |
Principal Investigator |
石飛 学 奈良工業高等専門学校, 電気工学科, 准教授 (60390481)
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Keywords | 誘導加熱 / スイッチング電源 / 磁界解析 / 渦電流解析 / 高周波スイッチング |
Research Abstract |
一昨年度、材質による加熱課程の違いとその詳細を明らかにすることができたため、昨年度はこの結果をふまえて、最適なインバータ出力波形に関する検討及びインバータ回路の検討を行い、以下の結果を得ることができた。 (1)最適なインバータ出力波形の検討 様々な形状、周波数の波形を試作IHシステムに入力し比較したところ、波形による違いより周波数による違いが顕著に表れた。そこで、周波数の異なる正弦波を入力して詳細に測定したところ、どの材質でも最も加熱効率の高いポイントが見られた。アルミニウムの場合5kHz程度、鉄の場合20kHz程度で最大効率を示し、これまで言われてきた"加熱効率を上げるためには高周波化"に反する結果であった。この結果を一昨年度までの解析結果と照合したところ、被加熱物体における加熱効率は周波数が高いほど良いが、高周波になるとワークコイルの導通損失が顕著になりトレードオフすることがわかった。以上より最適なインバータ出力波形は最大効率周波数における(高調波成分をもたない)正弦波であり、ワークコイルにおける導通損失の抑制が効率改善に最も効果的であることが見い出せた。 (2)誘導加熱用高周波インバータの製作及び検討 (1)の結果から正弦波を出力するインバータが適しており、回路の共振点において動作するものが良いとわかった。まず条件を満たすハードスイッチングインバータを製作したところ、やはりサージやスイッチング損失が顕著となった。そこで共振点におけるソフトスイッチングインバータを調査したところ、東京海洋大及び日立メディコからのみ報告があったが、高周波数における相性が悪いことがわかった。この課題を解消する回路方式について検討したが良い結果が得られず、検討を継続する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各種被加熱材料に対する加熱過程の詳細が明らかになり、その結果は従来知られていたものと大きく異なるものであった。これをもとに研究計画を再検討して進めた結果、最適加熱方式と新しい課題を見出すことができた。以上は当初の計画以上に進んでいるが、駆動回路について当初の予定と異なるものが要求される結果となり、最適なソフトスイッチング方式の導出等、現在苦戦しながら研究を続けている。全体としては良い結果を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
以下の点について今後進め、今回の研究を収束させていきたいと考えている。 (1)ワークコイルにおける損失低減方法の検討これまでの解析からワークコイルにおける損失低減が最も重要な課題であることがわかった。リッツ線でも対応できない周波数となるため、リッツ線の各線に流す電流をずらすことで表皮効果の抑制を試みる予定である。 (2)誘導加熱用ソフトスイッチングインバータの検討これまでも検討を続けてきたが、補助回路が大きくなってしまうなど、求めている性能を満たせていない。相互補助を行うソフトスイッチング方式について続けて検討を行う。 (3)システムの総合的検討(2)の検討を早急に進め、総合評価に持ち込みたいと考えている。
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Research Products
(3 results)