2010 Fiscal Year Annual Research Report
帯電物体の通過により大きさの異なる金属筐体内に生じる誘導電圧
Project/Area Number |
21760225
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
市川 紀充 工学院大学, 工学部, 講師 (60415833)
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Keywords | 非接触測定法 / 誘導電圧 / 金属ケース(筐体)の体積 / 誤動作 / 故障 / 球ギャップと電磁波センサ / タブレットデバイス / 電子機器 |
Research Abstract |
静電気が原因で発生する誘導電圧と放電は、ペースメーカーやパソコンなどの電子機器の誤動作や故障を引き起こす原因となる。この種の電子機器の誤動作や故障は、機能的な衣類等の増加や、エアコンの使用による室内の低湿度化により、今後もますます増加する。 例えば人体は床の上を歩くだけで約10キロボルトに帯電し、その帯電した人体が電子機器の近くを移動するだけで機器内に誘導電圧が発生する。その誘導電圧が原因で、電子機器が誤動作や故障を引き起こすことがある。 これまでに申請者は、球ギャップと電磁波センサを併用した誘導電圧測定法を用いて、帯電した物体(帯電した人体等を模擬)が開口部のある金属ケース(電子機器の金属筐体を模擬)の近くを移動したときにそのケース内の二つの導体(電子回路基板を模擬)間に生じる誘導電圧を明らかにしてきた。 本研究では、タブレットデバイス(例えばiPadなど)のような薄い電子機器内に生じる可能性のある誘導電圧を明らかにするため、電子機器に使われる金属ケースの大きさとそのケース内に生じる誘導電圧の関係を明らかにした。 本研究では、球ギャップと電磁波センサを用いた誘導電圧測定法と、測定した各導体間の静電容量を用いたキャパシタンスモデルによる誘導電圧計算法を用いて、実験と計算の両面から誘導電圧の検討を行った。 本研究を実施した結果、金属ケースに生じる誘導電圧はそのケースの体積(大きさ)には依存しないことを申請者の研究により国内外で始めて明らかにした。本研究の成果は、パソコンなど電子機器の内部に生じる誘導電圧の推定に役立つだけでなく、タブレットデバイスのような小型の電子機器の内部に生じる誘導電圧の推定にも役立つと思われる。 今後の研究では、本研究で得られた成果に基づいて、新たに小型で高精度な誘導電圧測定法を確立し、タブレットデバイスのような薄い金属ケース内に生じる誘導電圧を実験研究により明らかにしたい。
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