2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21760228
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菊池 伸明 Tohoku University, 多元物質科学研究所, 助教 (80436170)
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Keywords | 動的磁化挙動 / 磁気記録 / パルス磁場 / ナノ磁性体 |
Research Abstract |
本課題では,高磁気異方性ナノ磁性体の動的磁場に対する挙動を明らかにすることを目的として研究を進めた.高磁気異方性ナノ磁性体は磁気メモリ素子として用いられ,動的挙動はデバイスの動作速度に直結するため応用の観点からも非常に重要な情報である. 本年度は,磁化反転時間と同程度のパルス時間を持つ,大振幅パルス磁場発生装置の作製を重点課題として研究を進めた.なお,本研究で対象とする磁場時間はサブナノ~ナノ秒,磁場強度はkOeに設定した.パルス磁場は,同軸ケーブルに充電した電荷を,インピーダンス整合した回路系を通して放電させることで発生する矩形の電圧パルスをマイクロコイルに印加することにより発生させた.この方式は,充電電圧により磁場強度を,ケーブル長によりパルス長を変化できる利点がある.磁場分布について電磁界シミュレーションを行い,コイル直径を6μmまで低減することにより,直径1μmの領域でほぼ均一な,最大磁場振幅5kOeの矩形パルス磁場が得られることを確認した.この結果に基づき,マイクロコイルを実装した直径300nmの単一Co/Pt多層膜ドット試料を設計・作製し,異常Hall効果を検出する手法により,単一ナノ磁性体構造を用いてパルス磁場磁化反転実験を行った.その結果,磁化反転が10ナノ秒程度の時間で,交換結合長程度の反転核の生成およびその成長という様式で進展していることが明らかになった.この結果は,大振幅パルス磁場により,単一のナノ磁性体の非可逆磁化挙動を詳細に検出することにより初めて明らかになったものである.
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Research Products
(4 results)