2010 Fiscal Year Annual Research Report
電荷移動錯体薄膜を用いた高効率有機薄膜太陽電池の開発
Project/Area Number |
21760229
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
櫻井 岳暁 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 講師 (00344870)
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Keywords | 電荷移動錯体 / 光電変換 / 有機/金属界面物性 / 電気伝導度 / 第一原理計算 / 紫外光電子分光 / 電子スピン共鳴 |
Research Abstract |
本研究は、光電変換材料にふさわしい物性を示す有機半導体-金属系CT錯体薄膜の開発を行い、これを有機薄膜太陽電池に適用することを目指している。平成22年度は、(1)有機-金属CT錯体における有機/金属間エネルギーアライメントに関する研究、(2)電子スピン共鳴法(ESR)を用いた有機-金属CT錯体における電荷移動量の見積もりと光電変換効率に関する研究を行った。 まず、(1)エネルギーアライメントに関する研究では、分子構造が類似したカルバゾール系分子4種類を用いて、有機-金属界面の電子構造を紫外光電子分光により検出した。その結果、電気陰性度の大きな元素(窒素等)のπ軌道への寄与が高まると、有機/金属間における最外殻軌道間の強い相互作用ならびに界面電気二重層が誘起され、有機/金属間のエネルギーアライメントが大きく変動する様子が明らかになった。これより、有機-金属CT錯体において不明であった、エネルギーアライメントならびに電荷移動に関する法則性が理解できるようになった。また、(2)有機/金属間における電荷移動量の見積もりならびに光電変換効率に関する研究では、ESRと光伝導特性を一連の有機-金属CT錯体について調査した。その結果、有機/金属界面が最適なエネルギーアライメントを保ち、電荷移動を示すESR信号が強く出た時でも、結晶性が悪化すると光電変換効率が落ちることが明らかになった。すなわち、界面でのエネルギーアライメントや電荷移動だけでなく、欠陥のない結晶成長技術の開発が、CT錯体を利用した高効率太陽電池開発に不可欠であることが明らかになった。 なお、我々は有機薄膜太陽電池において高品質薄膜結晶成長を促す最適な界面設計指針に関する知見を得ており(T.Sakurai et al.,Org.Electron.in press)、これを有機-金属CT錯体の結晶成長に適用することにより、結晶性の優れた高効率有機薄膜太陽電池を得ることを目指し現在研究を進めている。
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Research Products
(10 results)