2009 Fiscal Year Annual Research Report
極低濃度塩酸を用いたBi系dc-SQUID作製技術の確立と実用化への検討
Project/Area Number |
21760232
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
加藤 孝弘 Nagaoka University of Technology, 工学部・電気系, 助教 (10432098)
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Keywords | Bi-2212 / 希塩酸改質 / dc-SQUID / 磁気センサ |
Research Abstract |
国内外におけるBi-2212固有接合を利用したSQUIDに関する研究現状は、高価な装置が必要なFIB(収束イオンビーム)法、あるいは高度な職人的デバイス作製技術(王華兵氏が開発したdouble-sided fabrication process)を要するArイオンミリング法が必要なため、研究報告が少なく特性解析は十分でない。このため、実用化には信頼性のある簡便なデバイス作製プロセスの確立が望まれていた。我々は、pH≧1.4という極めて薄い塩酸にBi-2212単結晶を長時間浸漬させた場合、透明で絶縁性の物質へと改質されることを見出し、これを利用した全く新しい固有接合SQUID作製プロセスを提案した。研究初年度である平成21年度は、この現象を利用したdc-SQUID素子作製プロセスを確立すること、また作製した素子の磁場応答特性の評価を行った。dc-SQUID素子作製プロセスを確立には、単結晶片の厚さの評価が重要となるため、ダブルスキャン高精度レーザ測定器を購入し、デバイス作製プロセス中に厚さ評価を行えるようにした。その結果、SQUIDループ形成時における塩酸改質行程はほぼ100%の確率で成功可能となった。作製した固有接合SQUIDの電流-電圧特性は77Kにおいても明瞭なブランチ構造を示し、臨界電流は印加磁場に対して周期的な変調を示した。現在、電流-電圧特性を-価関数かするために、シャント抵抗を付与した固有接合SQUIDの作製に着手したところである。次年度は、シャント抵抗を付与した固有接合SQUIDの作製条件を最適化するとともに、低周波ノイズめ評価をしていく予定である。
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