2010 Fiscal Year Annual Research Report
極低濃度塩酸を用いたBi系dc‐SQUID作製技術の確立と実用化への検討
Project/Area Number |
21760232
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
加藤 孝弘 長岡技術科学大学, 工学部, 助教 (10432098)
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Keywords | Bi-2212 / 固有ジョセフソン接合 / 希塩酸改質 / dc-SQUID / 磁気センサ |
Research Abstract |
国内外におけるBi-2212固有接合を利用したSQUIDに関する研究現状は、高価な装置が必要なFIB(収束イオンビーム)法、あるいは高度な職人的デバイス作製技術(王華兵氏が開発したdouble-sided fabrication process)を要するArイオンミリング法が必要なため、研究報告が少なく特性解析は十分でない。このため、実用化には信頼性のある簡便なデバイス作製プロセスの確立が望まれていた。我々は、pH≧1.4という極めて薄い塩酸にBi-2212単結晶を長時間浸漬させた場合、透明で絶縁性の物質へと改質されることを見出し、これを利用した全く新しい固有接合SQUID作製プロセスを提案した。平成22年度は、H21年度に引き続きこの現象を利用したdc-SQUID素子作製プロセスを確立すること、また作製した素子の磁場応答特性の評価を行うとともに、シャント抵抗付与による電流-電圧特性のヒステリシス除去に関する研究に重点を置いた。予備的な実験として、H22年度初めに測定用コンタクトパッドを介し、接合と並列となるようにシャント抵抗を設けることでヒステリシスのない電流-電圧特性を確認した。この結果をもとに、実際のSQUIDデバイスへと近づけるため固有接合SQUDを形成した結晶上にシャント抵抗の付与を試みたが、現行プロセスではコンタクト抵抗の影響を強く受けヒステリシスを取り除くことがかなり困難な状況にあることが理解された。H22年度では、これを解決するためにコンタクト部に機械的加工を施しコンタクト抵抗の改善を図ることでヒステリシス除去を行い、出力電圧の磁場依存性の測定を達成した。今後、シャント抵抗付与プロセスの改善のために、真空中での表面処理、例えばスパッタクリーニング、酸素アニール等を含めた表面処理に関する研究が必要である。
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