2009 Fiscal Year Annual Research Report
擬火花放電プラズマCVD法による新たなDLC成膜法の開発
Project/Area Number |
21760238
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Research Institution | Hachinohe National College of Technology |
Principal Investigator |
鎌田 貴晴 Hachinohe National College of Technology, 電気情報工学科, 助教 (50435400)
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Keywords | 擬火花放電プラズマジェット / 高密度プラズマ / DLC薄膜 / プラズマ計測 |
Research Abstract |
大電流であることからプラズマの高密度化が期待でき、かつアーク放電に比べて電極の損傷が少ない擬火花放電プラズマジェットを用いて、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)薄膜の生成を試みるとともに、擬火花放電プラズマジェットの基礎的な特性について調べた。平成21年度はプラズマジェットの撃ち出しに影響を与える陽極中心孔の直径の変化に対するプラズマ計測を行った。その結果、陽極孔径の拡大とともに電極中心軸上のイオン密度およびプラズマの流れ速度は増加を確認した。しかし、プラズマジェットがピンチする傾向が強まり、径の細いプラズマジェットが生成された。これは放電電流の軸方向成分が影響していることが予想される。この実験結果を基に、プラズマジェットが半径方向に広がり、高イオン密度を保っている条件である陽極孔径10mmが成膜実験に最適であると判断した。本条件を用いて、シリコン基板への成膜を試みた結果、基板上での膜の堆積を確認したが、基板と膜の密着性が低く、容易に剥離した。また、X線回折装置で膜の分析を行った結果、基板ホルダーに用いた真鍮の成分の混入を確認した。そこで、プラズマ中のイオンのエネルギーを下げ、真鍮の成分の混入を防ぐために放電電流を10→8kAに減少させた。また、電極一基板間距離、イオン引き込み用の基板バイアス電圧を変化させて実験を行った。その結果、不純物の混入は減少したが、密着性は改善されなかった。この原因として、応用面を考慮し、基板に熱を加えることなく、常温で成膜実験を行ったことが挙げられる。今後は基板のバイアス電圧をさらに高くすることで、基板と材料ガスとの結合を促す。また、分光装置を用いることでプラズマジェット中の発生イオンの状態を確認し、成膜に適した実験条件を調べていく。
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