2010 Fiscal Year Annual Research Report
超低損失ミリ波帯フィルタ実現のための構成要素技術の研究開発
Project/Area Number |
21760248
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
清水 隆志 宇都宮大学, 工学研究科, 助教 (80500397)
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Keywords | 遮断円筒導波管法 / WGモード誘電体共振器法 / 複素誘電率測定 / 表面抵抗測定 / 低損失誘電体材料 / 超電導体 / 低損失フィルタ / ミリ波 |
Research Abstract |
本研究により得られた今年度の成果を以下にまとめる。 (1)研究代表者らが開発してきた遮断円筒導波管法の適用周波数範囲の拡充を行った。これにより、W帯における複素誘電率測定が行えるようになった。この成果を用いることで、30-110GHz帯における材料定数データベースの作成が可能となった。(2)H21年度に見出した低温条件下にてQ値が15,000@30GHzを有するコプレーナ線路構造ミリ波超電導共振器を用いて、結合係数および外部Qに関して検討を行い、フィルタ設計の基礎資料を得た。(3)同共振器を用いた30GHz帯2重モード超電導バンドパスフィルタの設計を行った。その結果、中心周波数29.97GHz,3dB帯域幅290MHz(比帯域幅0.97%)、挿入損失0.12dB程度の値が得られることをシミュレーションにより実証した。この値は、銅導体を用いた場合に比べ、3dB程度の改善であることが分かった。(4)立体回路構造高Q共振器として、NRDガイド励振サファイア円板誘電体共振器の検討を行った。常温、60GHzにおいて、無負荷Q値5000程度が得られることが計算によりわかった。サファイア共振器は周波数・無負荷Q値一定の関係があるため、30GHz帯に換算すると無負荷Q値10000程度となる。(5)NRDガイド励振サファイア共振器を用いて、60GHz帯向け狭帯域バンドパスフィルタの設計及び試作を行った。その結果、中心周波数57.0GHz,3dB帯域幅540MHz(比帯域0.95%)、挿入損失0.6dBの低損失バンドパスフィルタを試作した。この値は従来構造フィルタの挿入損失に比べ、1.5dB程度の改善に成功した。しかしながら、5GHz程度離れたところにスプリアスが生じたため、この特性改善は今後の課題である。 以上の結果により、極低損失ミリ波フィルタの実現に向けた構成要素技術を開発し、研究目標をほぼ達成した。今後、多段化等によるフィルタ特性改善や超電導フィルタ試作に向けて、研究を継続していく。
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