2011 Fiscal Year Annual Research Report
単一磁束量子回路による高信頼性セルライブラリの生成支援に関する研究
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21760256
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田中 雅光 名古屋大学, 高等研究院, 特任助教 (10377864)
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Keywords | 計算機設計支援 / 大規模集積回路 / 量子エレクトロニクス / 超伝導素子 |
Research Abstract |
本研究は、高速・低消費電力な次世代LSI技術である、単一磁束量子(SFQ)回路の設計において必要不可欠な、基本要素回路(セル)の集まりであるセルライブラリ構築の設計支援を目的としている。平成23年度は、信頼性が高く性能の優れたセルを設計するための設計指針について引き続き検討と実験を進め、また、レイアウト設計の自動化に向け、セル設計支援ツールの作成を進めた。 昨年度までの検討結果から、電源電圧を変えることでSFQ回路の動作速度と消費電力を調節することができることが明らかとなった。特に電源電圧を下げることが大幅な低消費電力化につながり、回路の高集積化に必須の技術となると期待されるため、数値計算と実験により低電圧駆動によるセルの特性を詳細に評価した。その結果、電源電圧を現在の設計の1/5から1/10程度となる、数百ミリボルトに設定した時に同程度の動作速度を維持しながらもっとも高いエネルギ効率を達成できることが分かった。また、ジョセフソン接合の臨界電流値に関しても検討を行い、現在の1/4程度まで小さくしても十分な歩留まりをもつセルを作成することが可能であると分かった。レイアウト設計の観点からは、微少な抵抗が必要となるため、当初は電源電圧の低減化だけでは大幅な消費電力の削減は難しいと考えていたが、これらを組み合わせることにより、消費電力が従来よりも一桁以上小さなセルの設計指針を見いだすことができた。 SFQ回路では、信号の分岐など配線要素にも能動素子を含む独自の回路が必要である。セルの設計自動化に関しては、配線要素セルをターゲットとし、レイアウトを自動生成支援プログラムの作成を試みた。配線要素セルは、柔軟な設計を可能とするため、形状の異なる多数のセルをライブラリに用意することが必要であり、セルライブラリ構築作業の効率化への貢献が期待される。
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