2010 Fiscal Year Annual Research Report
チップ内メタ物質を用いたミリ波集積回路用小型・可変伝送線路共振器の開発
Project/Area Number |
21760259
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
土谷 亮 京都大学, 情報学研究科, 助教 (20432411)
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Keywords | メタ物質 / 集積回路 / 伝送線路 |
Research Abstract |
昨年度チップ内配線においてSRR (Split-Ring Resonator)を利用した60GHz帯ミリ波向けメタ物質の実現可能性を実証したことを受け,本年度はSRRにトランジスタを接続し,共振周波数可変なSRRの実現について検討した.集積回路内は配線構造に制約が多い一方,極めて微細かつ高性能なトランジスタを集積できるため,SRRの電磁気的振る舞いに影響を与えずにトランジスタによる制御性を付加することができると期待できる.昨年度試作した積層型SRRにトランジスタを接続し,外部から与える電圧でトランジスタの動作状態を制御できるチップを試作し,実測を行なった.その結果,トランジスタの付加によってSRRの共振周波数が変化することを確認し,可変SRRの実現可能性を示した.可変メタ物質については他にも研究がされているが,集積回路内の可変SRRについての実測例は他に例のない成果である.しかし,SRRの損失が大きく共振器のQ値が低いため,当初目標としていた共振器としての利用にはなお改善を必要とすることも明らかになった.また,可変SRRをどのように設計すべきかについても課題が残っている.共振周波数や可変範囲を適切に設計するためには可変SRRのモデル化が必須であるが,動作周波数が60GHz近辺と高いため,SRR部分,トランジスタ部分ともに精度の高いモデル化が必須となる.実際に設計したことで,SRRをトランジスタに接続するための引き出し線の影響も無視できないことが判明した.このような要素のモデル化や,影響を抑える設計についてさらに検討が必要である.
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