Research Abstract |
昨年度は,KOHを用いたポリイミド表面の改質を行い,無電解/電解銅めっきにより配線を形成し,高周波特性の評価を行った.本年度はPEN(ポリエチレンナフタレート)への無電解/電解銅めっきを試みた.PENはポリイミドよりも低コストで透明性も良く,また耐熱性もかなり良いため,今後,電子機器への適用が進むと予想されている. PENの表面改質方法として,酸素プラズマとシランカップリング,及びPd触媒を用いることで,無電解めっきを行う方法を開発した.AFMをもちいて無電解めっき後のPEN表面のラフネスを調べた所,33nmと非常に小さく,表皮効果による伝送損失の劣化はほとんど無いと考えられる.また,FT-IRにより酸素プラズマ改質の前後でのPENフィルム表面の分子構造の変化を調べた.その結果,プラズマ改質後は,OH基の振動に起因するピークが増加しており,プラズマ改質によりOH基がPENの表面に形成されていることが確認出来た.このOH基とシランカップリング剤の分子が反応しSAM層を形成することで,Pd触媒のPEN表面への化学結合が起こったものと推察される.また,無電解銅めっき膜をシード層として電解銅めっきを行った.15umの厚さになるまでめっきしても,銅箔とPENの密着性は良く,テープテストでも引き剥がれは起こらなかった.また,新しい配線構造としてコプレーナ配線を設計した.コプレーナ線路は,マイクロストリップ線路に比較してグランドと信号線が同一面にあるため,設計上の配線レイヤー数を削減出来る.設計にあたっては,特性インピーダンスが50Ωとなるように理論式をもちいて計算を行った.また,電磁界シミュレータを用いて5GHz無線帯域用のバンドパスフィルタを設計した.来年度,これらの配線フィルタを評価する予定である.
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