Research Abstract |
1. 概要 銅薄膜電極,シリコン酸化物,ポリイミドに対して一括して適用可能で,同種,異種を問わず強固な結合力を低温大気圧条件下で創製するための表面処理手法が開発された。また,接合性能の基礎的な評価のために,数十ミクロンンピッチの微細平坦銅電極試料を形成し,金属接合界面で良好な電気伝導性が得られることを確認した.これにより,結合メカニズムや熱的物性の異なる複数のMEMS実装材料を同一手法で接合できる可能性が拡がることが期待される. 2. 材料表面への架橋層形成挙動の解明 (1) 21年度の検討では,銅,シリコン酸化物の活性表面に水蒸気を導入し,表面で水分子が電離することで生じる水酸基が初期反応となって形成された架橋層を介して,銅,シリコン酸化物の低温大気圧接合が可能であることを示した.また,シリコン酸化物表面に形成されるシラノール基が金属イオンを担持することを利用し,銅,シリコン酸化物間の異種接合も同一プロセスで可能であることが示唆された。これは当初想定していなかった結果であるが,平坦な三次元構造の全表面的な結合力の増加に貢献すると考えられるので,この皮膜の化学的構造などの検討を優先的に行った。 (2) ポリイミドに関しても,同様の方法による接合が部分的に可能であることが示された.しかし,ポリイミド基板に対する水分子吸着の検討が,前項で示した理由により基礎的な部分にとどまったので,これについては22年度も継続して行う。また,ポリマーに対して架橋能を発現させることが可能と考えられる金属錯塩などの皮膜の形成条件を,低分子量脂肪族溶剤やベンゾトリアゾールなどのキレート分子の材料活性表面への吸着挙動解析から明らかにする。 3. 接合性能の基礎的評価 銅薄膜の接合界面において,接合後の界面生成する中間層の構造を制御することにより,接触電気抵抗率をバルク抵抗の2倍程度に抑制可能であることを示した.
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