2009 Fiscal Year Annual Research Report
グラミアン保存周波数変換を用いた高性能適応信号処理システムの開発
Project/Area Number |
21760271
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
越田 俊介 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 助教 (70431533)
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Keywords | 情報通信工学 / 制御工学 / 適応信号処理 / 可変ディジタルフィルタ / 周波数変換 / 状態方程式 / 可制御性グラミアン / 可観測性グラミアン |
Research Abstract |
平成21年度では,「高次の可変ディジタルフィルタに基づく適応信号処理システムの開発」と「可変ディジタルフィルタの高精度化」を目的として研究を行った.研究実績の詳細は下記の通りである. 1.高次の可変フィルタに基づく適応信号処理システム 可変フィルタに基づく適応信号処理では,適応ノッチフィルタを用いた手法がよく用いられる.この手法は実現が容易であるが,適応フィルタの次数が低い(2次)ため,フィルタの振幅特性における遷移域幅や阻止域減衰量などの面で十分な性能を得ることが困難である.そこで本研究では,高次の可変フィルタを用いた適応信号処理の手法を提案した.そして,提案手法が従来法と比べて雑音除去性能に優れていることを実験により示した.ただし現時点では,提案法の性能の定量的な解析を行っていないため,今後はこの解析について取り組む予定である.また,現在の提案法ではフィルタ構造を自由に選ぶことができないため,今後はフィルタ構造を考慮した可変フィルタによる適応信号処理システムを実現する予定である. 2.可変フィルタの高精度化 上述の提案法では高次の可変フィルタを利用しているが,一般に,高次のフィルタは量子化の影響を受けやすく,実装時の精度が低くなってしまうという問題がある.この問題は,フィルタの構造を適切に選ぶことによって解決される.そこで,今年度の研究では,高次の可変フィルタの精度を高くするために,状態方程式によって合成される構造に基づく可変フィルタの新しい実現法を提案した.このアプローチは従来の研究でも利用されているが,実現できるフィルタ特性が低域通過型など簡単なものに限定されていた.これに対し本研究では,本研究代表者がこれまでに確立した理論である「グラミアン保存周波数変換」を用いて,帯域通過型・多重帯域通過型など複雑な特性を実現する可変フィルタの高精度化を達成した.
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Research Products
(2 results)