2011 Fiscal Year Annual Research Report
選択暗号文攻撃に対して安全な公開鍵暗号の一般的構成法とその意義付け
Project/Area Number |
21760275
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松浦 幹太 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (00292756)
|
Keywords | 公開鍵暗号 / 証明可能安全性 / 選択暗号文攻撃 / 一般的構成法 / 電子署名 / セキュリティ経済学 / セキュリティ投資モデル |
Research Abstract |
本研究の目的は、ランダムオラクルに頼らず、選択暗号文攻撃に対して安全な公開鍵暗号の一般的構成法を示す(またはその不可能性や条件付き不可能性を示す)とともに、その経済学的意義を明らかにすることである。 平成23年度の計画では、技術研究に関しては、とりまとめの論文発表を予定していた。実際、前年度までの成果のうち査読付き論文になっていなかった成果(完成度の高いモデルで安全性証明可能な認証を伴う公開鍵暗号)を、当該分野で重要なLNCSシリーズの査読付き論文として発表できた。 最終年度にも進展を目指す経済学的研究では、全地域・産業に相関を持つ標準技術と特定の地域・産業に相関を持つ応用技術の観点で学際的評価を行う計画であった。また、必要に応じて、シミュレーションによる特性分析も行う予定であった。実際、東日本大震災の影響で、このシミュレーションの必要性が生じた。即ち、復興後のサプライチェーンが震災前と同じとは限らないため、地域間産業連関表を用いる本研究では、いくつかの仮定を置いたシミュレーションが必要となった。 このようにオプションも採用して研究を遂行した結果、以下の2つが明らかとなった。 第一に、本研究で開発したような高度に安全な方式への投資は、全ての産業分野で重要なわけではない。とくに重要な産業は「その他の製造業」「商業・運輸」「サービス」であった。「情報通信」が含まれていないなど直感に反する部分もあり、資料価値の高い分析結果となった。第二に、このセキュリティ投資に関する諸特性は、復興の仕方の影響をほとんど受けない。本研究は、東日本大震災を予期して立案したわけではない。しかし、研究期間中に発生した未曾有の災害を受けても、客観的手法で研究を遂行し復興後や復興中に役立つ知見を導出できたことは、安全・安心に関わる公的資金のプロジェクトとして大きな意義があると考えられる。
|
Research Products
(5 results)