Research Abstract |
(i)多元シンボルLDPC符号の設計法の確立と(ii)量子誤り訂正LDPC符号の設計法の確立の2つが本研究の目的である.まず,平成21年度には,(i)への取り組みとして多元LDPC符号の新しい構成法を提案している.この提案符号を用いることにより,従来の誤り訂正符号の限られた送信ビット数では,訂正できなかったようなノイズを訂正できるようになった.この成果は,特許として出願され,また国際会議において高い評価を受けている.さらに,この提案符号を,副情報源を使った情報源圧縮,量子鍵配送,レートレス符号化へ応用し,従来手法よりも良い性能を有することを実証している.また,提案符号を並列計算機を使って復号した際の,計算量を大幅に削減する,アルゴリズムを開発し,特許として出願した.(ii)への取り組みとして,構造を有する多元LDPC符号を用いることにより,高い量子誤り訂正能力を有するCSS符号を構成することに成功している.従来手法では,多くのキュービットを用いて符号化することにより,強いノイズ耐性を有する符号を構成していたが,量子通信システムにおいては多くのキュービットに相関を持たせて,符号化・復号化を行うことは容易にできるとは限らない.提案符号を用いることにより,より少ないキューピット数でより低い誤り率を達成できることを示した.この研究成果は,論文としてまとめられ国際会議へ投稿中である.
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