Research Abstract |
平成22年度は,視聴領域情報の移動に伴う最適符号量制御方式とシステム実装によるユーザ評価を行うことで,研究方式及びシステムの有効性検証を行った.まず,領域移動速度に応じた領域間最適符号量制御方式では,表示領域だけでなく周辺領域も合わせて視聴領域符号化ストリームに含めて送信することにより,視聴領域の移動に対する即応性を高める方式を研究する.但し,表示されることが保証されない周辺領域に対して,実際の表示領域と同等品質を割り当てることは,符号化効率,ネットワーク利用効率の観点から望ましくない.そこで,視聴領域(=表示領域+周辺領域)の移動速度に応じた領域間最適レート制御アルゴリズムの研究を行った.具体的には,移動する視聴領域の移動速度および移動方向に応じて,視聴領域内の各領域が実際にディスプレイ上に表示される可能性を示す表示確率マップ生成アルゴリズムを確立した.一方,映像動きベクトルと視聴領域移動速度とから表示ディスプレイに対する相対的映像動き量を求めることで,移動速度と誤差検知感度との対応を示す誤差感度マップ生成アルゴリズムを確立した.これらのマップ情報を元に,移動速度と移動方向とから一意に導き出される領域毎の要求品質を導出し,固定レートを制約条件とした,領域間最適符号量配分制御アルゴリズムを確立した. 最後に,携帯端末を対象としたアクセスシステム構築とし,表示側受信クライアントは,第3世代携帯電話システム標準化規格である3GPP/3GPP2マルチメディアシステム,及びIETFシステムに準拠する形で,携帯端末への組み込み実装を行い,実ネットワーク上で評価を行った.その結果,ネットワーク変動にはまだ問題があるが,現在のインターネット速度で十分に実用性のあるシステムが構築することが確認できた.
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