2011 Fiscal Year Annual Research Report
協力マルチホップ伝送を用いた低消費電力無線ネットワークの研究
Project/Area Number |
21760284
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
石橋 功至 静岡大学, 工学部, 助教 (80452176)
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Keywords | 情報通信工学 / 高信頼性ネットワーク / 移動体通信 |
Research Abstract |
平成23年度では最終年度として本研究課題をまとめつつ、協力通信方式のパワーアンプにおける電力利用効率解析、USRP2を用いたネットワーク誤り訂正の実装および評価、不均一端末分布型協力マルチホップ通信の理論解析の一般化、電力利用効率に優れた協力通信方式の提案の4つについて検討した。平成22年度までは中継端末が不均一に設置された環境での協力マルチホップ通信の特性について解析を行ったが、これらの解析では通信路には見通しが全く存在しないと仮定しており、実環境との乖離が指摘されていた。そこで今年度は見通しがある程度存在する通信路環境において協力マルチホップ伝送の特性を解析し、より現実的な環境下でも協力マルチホップ伝送が優れた伝送効率および省電力化を実現できることを明らかにした。また平成22年度に実施した協力通信方式の送信信号の瞬時電力分布の理論解析を拡張し、推定・転送協力通信についても解析を行った。その結果、信号を再生成する協力通信が電力の利用効率の観点からはもっとも優れていることを明らかにした。これらの解析結果をベースに、中継端末における電力利用効率に優れた協力通信方式を新たに提案した。提案方式では受信信号の振幅変動をハードリミタによって抑圧する。本方式では中継局において通信路推定や振幅変動の追随、復号、復調の一切が必要ないため、増幅転送方式よりも省電力化が可能であることを示した。また平成22年度に続き、物理層まですべてのレイヤを自由に書き換え可能なGNU Radioおよびそれを用いたUSRP2による協力ネットワーク符号化通信の実装を行い、従来の直接通信よりも優れた特性が得られることを実環境試験にて確認した。以上、計画目標として当初に掲げた目標の大部分を達成し、協力マルチホップネットワークによる低消費電力実現が可能であることを示した。
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