2010 Fiscal Year Annual Research Report
スペクトル共用システムへの進化ゲーム理論によるアプローチ
Project/Area Number |
21760287
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山本 高至 京都大学, 情報学研究科, 助教 (30423015)
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Keywords | スペクトル共用 / コグニティブ無線 / ゲーム理論 / 進化ゲーム理論 / 周波数有効利用 |
Research Abstract |
無線スペクトル使用状況など電波環境情報を学習し,これに基づき適応的に無線通信を行うコグニティブ無線が注目を集めている.本研究の目的は,コグニティブ無線の要素技術の一つであるスペクトル共用について,各制御主体間の相互作用に基づくダイナミクスを,進化ゲーム理論及びその周辺理論の導入によりモデル化し,そこで知見が得られた諸特性を実現する方式を提案することである. 平成22年度は一つのアプリケーションとして,モバイルルータと無線端末により構成されるネットワーク間のパケット衝突に関して最小コンテンションウィンドウサイズを2値から選択する方式を提案し,進化ゲーム理論により定式化を行い,モバイルルータの振る舞いに関する理論評価を行った.それに基づき特性評価を行った結果,チャネル利用効率に関して従来方式より優れていることが分かった.また,進化ゲーム理論で用いられる収束アルゴリズムを改良し,それを計算機シミュレーションにより実装することで実際に収束するかどうかの確認を行った.これらの成果は電子情報通信学会論文誌で条件付き採録の判定を受けている. ついで,進化ゲーム理論の周辺理論と言える少数派ゲームの知見を用いて昨年度提案したスペクトルを再利用するシステムのための自律分散的送信スケジューリング方式を拡張し,閾値という新たな値を設定することで,高優先度システムの不稼働率を指標とした干渉制御が行えるようにした.この拡張により,制御特性の無線局配置への依存度が小さくなることが明らかとなった.この成果はイスタンブールで開催された国際会議IEEE PIMRCで発表を行った.
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