Research Abstract |
無線通信を用いた安心・安全のインフラ実現に通信品質の大幅改善が必須であり,周波数資源利用の高効率化,干渉の予防・回避技術の研究が急務である.コグニティブ無線を用いた周波数資源制御が注目されているが,適切な形式を自律的に選択する制御についてはまだブレークスルーが見つかっていない.本研究では,個々の無線局が適切に行動できるためのメカニズムを研究する. 本研究の鍵となるのは「交渉」に基づいた学習である. 本年度は特に,学習アルゴリズムが要する時間を評価し,その短縮を図った.さらに,実装の容易さやオーバヘッドも考慮して,メカニズム全体の簡潔化を行った. 1.平成22年度に洗い出した問題に基づいてメカニズムの改良を行い,22年度行った評価と同様の指標で評価,改良を繰り返した。 2.アルゴリズムが安定的な解を発見する所要時間を実時間尺度で評価した。 3.学習時間が現実的に許容可能な範囲におさまるよう,アルゴリズムの高速化を図った.この際,性能と学習時間とにはトレードオフの関係が存在するが,性能劣化を20%にとどめられるようにした. 4.メカニズム全体において,端末間の情報交換に要するオーバヘッドや,アルゴリズムの複雑度を見直し,それらを最小化するために,メカニズムの簡潔化を行なった. 5.コグニティブ無線環境を模したシミュレーションを用い,高速化アルゴリズムを用いた改良メカニズムを,22年度のメカニズムと比較評価した. 6.評価と改良を繰り返し,許容内の性能劣化で80%の学習時間の短縮とオーバヘッドの削減を実現した. 得られた成果を国内研究会で発表し,聴講者との議論を通じて以後の方向性を決めていった.また,まとまった成果が得られた時点で,国際会議での発表,論文誌への投稿を行った.特に,本研究の方法論や成果を広く報知するため,また,費用対効果を高めるため,極力,参加者数の多い国際会議,読者数の多い論文誌を選んで投稿した.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画にしたがって研究を進める予定である,課題として特に,計算に要する時間,実装の容易さ,オーバヘッドを総合的に考慮して,メカニズムの最適化を行なう必要がある.
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