Research Abstract |
本研究では,メタマテリアルの高周波デバイスへの適用を容易にするための,新たなシミュレーション手法を開発し,それによって予測されるプロトタイプを作成・実験することで,手法の即効性,新規高周波デバイスの提案を行うことを目的として着手された.ダイオード・トランジスタに代表される非線形素子,抵抗・インダクタ・キャパシタのような線形素子の高周波等価回路を,3次元電磁界解析手法であるFDTD(Finite Difference Time Domain)法に組み込んだLumped Element FDTD(LE-FDTD)法を拡張し,メタマテリアルの微細構造部を高周波等価回路として取り扱うことで,解析効率,設計効率を大幅に向上させ,メタマテリアルの創成,応用を加速させることが狙いである. 本21年度は,LE-FDTD法のシミュレーションコードを作成し,さらに拡張として,周期構造を持つメタマテリアルを構成するセルの等価回路を組み込むことに成功した.学会発表において,LE-FDTD法に組み込まれた等価回路を隙間なく配置することが従来のモデリング法では不可能であることを示し,その一解決法を提案すると共に,伝送線路型メタマテリアルを対象に,実測結果,有限要素法による解析結果と比較することで,その有効性を示した.また,同形状のメタマテリアルの特性解析において,解析時間,使用メモリを有限要素法と比較した結果,約10分の1程度であることも示した. 一方で,LE-FDTD法におけるモデリング上の制約から,不要なリアクタンス成分が含まれ,結果として周波数特性が低域にシフトするという潜在的な問題が含まれていることがわかった.
|