2010 Fiscal Year Annual Research Report
実音響空間における安定な新しい複数移動音源追尾法の開発
Project/Area Number |
21760299
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
陶山 健仁 東京電機大学, 工学部, 准教授 (50303011)
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Keywords | マイクロホンアレー / 音源定立 / 適応アルゴリズム / 音源追尾 / 最適化 / 音声 / 信号処理 / 時間周波数分析 |
Research Abstract |
平成22年度は平成21年度までに検討した複数移動音源追尾法であるPAST-IPLS法について引き続き,その高速化ならびに高精度化について検討するとともに,追尾結果を利用した目的音抽出システムについて検討した。まず,追尾処理の高速化について,従来より問題であった話者が無音状態から発話状態に復帰する際に音源数の変動を検知するとともに,おおまかな音源方向を推定し,IPLSの実行可能領域を再設定する手法について検討した。検討手法ではマイクロホンアレーによる音源定位の基本手法である遅延和アレー法が低演算量である反面推定精度が低いが,再設定には過度の精度が必要ないことに注目して遅延和アレーで得られるパワースペクトルの粗いピークサーチを行なった。その結果,受音信号1[s]あたり0.6[s]程度の演算量で全追尾処理が実行可能であることを示した。また,マイクロホンアレー全体のマイクロホン数を削減し,マイクロホン間隔を広げ追尾性能を向上する手法についても検討した。この手法では空間エイリアシングが問題となるが,IPLSが多峰性関数に対する最小化に利用しやすい性質を利用して,この問題を回避した。その結果,受音信号1[s]あたりの演算量を0.1[s]程度まで削減し,かつ追尾性能を向上することに成功した。 つぎに,時々刻々と得られる追尾結果を用いて最小分散法により目的音声を抽出する手法について検討し,高S/N性能が得られることを示した。また,追尾性能の評価時に真の音源方向を調査するために従来はカメラアレーによる位置計測を行なっていたが,抽出音のPESQ値を用いて,音源追尾性能を評価する手法についても検討し,同じ測定環境であればPESQ値が利用可能であることを示した。
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Research Products
(4 results)