2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21760316
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小野寺 武 九州大学, 大学院・システム情報科学研究院, 助教 (50336062)
|
Keywords | 計測工学 / センサ / ハイドロゲル / ポリマー / 抗原抗体反応 |
Research Abstract |
抗原応答性ハイドロゲルを作製し,それを受容膜とした新規の匂いセンサの開発を試みた.抗原応答性ハイドロゲルは,ポリマーに固定された抗体と,同様にポリマーに固定された抗原の結合をマトリックスの架橋点として利用したゲルである.遊離の抗原がハイドロゲル内に存在すると,置換反応により固定化抗体と遊離の抗原が結合する.そのため,架橋点の結合がほどけ膨潤する.したがって,抗原抗体反応がマトリックス自体の変化として表れることになる.匂い物質に対する抗体を用いて作製したハイドロゲルを用い,匂い物質の結合による膨潤現象を表面プラズモン共鳴(SPR)現象測定装置で信号変換するものである.N-vinylformamide (NVF)をポリマーの出発物質に決定し,NVFに水溶性アゾ重合開始剤を加え,個体状のpoly(N-vinylformamide)(poly(NVF))を得た.poly(NVF)は有機溶媒に不溶であるが,水に易溶であり,得られた個体を精製し,凍結乾燥を行い,poly(NVF)を回収した.加水分解により,アミノ基を側鎖に持つpoly(vinylamine)を得た.ハイドロゲル形成には,SPR測定装置の金表面側と抗体側をポリマー化する必要がある.金センサ表面に自己組織化単分子膜を形成し,poly(vinylamine)をアミンカップリングにより固定化した.そこにトリニトロトルエン(TNT)の類似物質(DNP-グリシン)をアミンカップリングにより固定化し,抗TNT抗体の結合性を調べた.その結果,従来得られていた結合量の3~5倍程度となった.また,TNTにより結合した抗TNT抗体を置換反応により解離でき,poly(vinylamine)は,抗原抗体反応の反応の場として,有効に利用できることがわかった.一方,poly(vinylamine)と抗体の結合は,抗体の糖鎖を用いるなど配向性を考慮した結合が必要であることがわかった.
|
Research Products
(1 results)