2010 Fiscal Year Annual Research Report
完全空乏型SOI技術を用いたテラヘルツ帯高感度センサー用極低温LSIの開発
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21760321
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
永田 洋久 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 研究員 (20399299)
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Keywords | 赤外線天文学 / 極低温読み出し回路 / 光伝導型検出器 / 完全空乏型SOI-CMOS / テラヘルツ / 高感度計測 / 科学衛星 |
Research Abstract |
将来の宇宙観測用、産業用のテラヘルツ帯イメージセンサーへの応用を目指した、絶対温度2K前後で駆動するVLSI技術の研究開発が本研究の目的である。CMOSを2K前後まで冷却すると、多くの場合、静特性が大幅に劣化することが知られており、高精度のアナログ回路の開発は一般的に困難になる。これを解決するために、完全空乏型SOI-CMOSに着目し、FET単体での冷却時の特性評価を行い、極低温でも良好な特性を維持することを明らかにした。更に、その実用性を検証するために、同CMOSによる基本回路の設計・試作を行った(平成21年度)。今年度(平成22年度)は試作したOPアンプ回路、D-フリップフロップ等論理回路の性能評価を行った。これらの回路は極低温VLSIの基本回路となるものである。試作したOPアンプ回路については液体ヘリウム温度冷却時においても超過雑音等は見られず、トランジスタ単体の性能から期待されるものに近い性能が得られた。これにより、OPアンプを用いた様々なCMOSトポロジーを極低温環境下への導入する見通しが立った。また、ANDやNAND等の基本論理回路、フリップフロップ等の順序回路についても、2V系で期待通りの動作をすることを確認した。従って、これらの回路を組み合わせたカウンターやレジスター等の機能ブロックの導入が可能になると期待される。 本研究に続き、AD変換器等のアナログ・デジタルを組み合わせた回路の極低温での動作検証及び、大規模イメージセンサーに対応するための回路規模拡大に向けた研究が今後の課題として挙げられる。
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