2010 Fiscal Year Annual Research Report
離散時間力学に基づく離散構造を考慮した非線形制御理論の構築
Project/Area Number |
21760332
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
甲斐 健也 九州大学, 大学院・システム情報科学研究院, 助教 (60419471)
|
Keywords | 非線形システム / 非線形制御理論 / 力学システム / 離散時間力学 / 離散構造 / 数値計算法 / 微分・差分幾何学 |
Research Abstract |
平成22年度においては,離散時間力学の制御工学・ロボット工学への応用を目的とし,主に以下の研究テーマに取り組んだ.1.台車型倒立振子システムに対して,離散時間力学を用いた振り上げ制御アルゴリズムの提案を行った.制御則は離散時間リアプノブ関数に基づく振り上げ制御と,線形近似システムに対する離散時間最適レギュレータ理論に基づく安定化制御の2段階で構成され,数値シミュレーションによってその有効性が確認できた.2.コンパス型2足歩行の安定な歩容を生成する問題に取り組んだ.まず離散時間力学モデルに対して,離散時間歩容生成問題を定式化し,逐次2次計画法を用いて解くことによって離散時間入力を求める.そして,離散時間Lagrange-d'Alembertの原理を用いて,離散時間入力から連続時間0次ホールド型入力へと変換する手法を提案した.シミュレーション結果によって,平地だけではなく,下り坂・上り坂などの難易度の高い場所での安定な歩容生成が確認できた.3.離散時間力学において重要な役割を果たす離散時間Euler-Lagrange方程式に対し,制御理論の立場から可解性・受動性などの理論的解析を行った.以上の結果は,国際・国内学会において研究発表を行っており,さらに学術論文としてすでに投稿を行っている状況である.本研究課題の結果によって,コンピュータと親和性の高い制御系設計が可能となり,より複雑化・大規模化するシステムに対する,コンピュータベースの新しいアプローチを提供するものと考えられる.
|