Research Abstract |
本研究は,高齢者や障害者の移動支援車両である電動車椅子,電動カート,電動アシスト型車椅子の高性能・高効率走行,乗り心地向上を目的とし,電池やキャパシタに電力を回生しながらプレーキをかける「回生ブレーキ制御」を中心に据え,ブレーキ力調整制御の実現やエネルギー的に高効率な走行を目指すものである。平成22年度は2年計画の2年目であり,当初の計画どおり,1)回生制御回路の設計(バッテリやキャパシタへ回生するための昇圧チョッパ,昇降圧チョッパ回路,またブレーキ力向上のためにそれらを改善した回路などを設計),2)実験機の製作(電動車椅子,電動カート,アシスト車椅子それぞれの実機を製作),3)制動距離推定法の検討(電動カートのレバー操作からファジィ推論により制動距離を推定),4)制御アルゴリズム開発と基礎実験(ファジィ推論によるブレーキ力調整方法とそれらの実証実験)について,それぞれ成果を生み出した。具体的な成果として,電動車椅子の下り坂走行に関してはジョイスティック操作に応じてブレーキ力や速度を調整する制御法,電動アシスト車椅子の下り坂走行に関しては,傾斜角度等に応じた滑らかな速度指令を生成しこれに追従させるブレーキ制御法,また電動カートの制動制御については,レバー操作に応じて制動距離を推定しジャーク等を考慮しながら滑らかにその距離で停止に至るブレーキ制御法を開発,実機による実験的検証を行った。福祉用電動車椅子の高性能回生プレーキ制御というこれまでになかった新しい試みに対し多くの成果が得られたと考えられる。
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