2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21760336
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
山本 直樹 Keio University, 理工学部, 講師 (40513289)
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Keywords | システム制御理論 / 量子系 / フィードバック制御 / 量子光学 / 量子情報 |
Research Abstract |
本研究では、ネットワークの構成要素(ネットワークの端点であるノード、およびそれらを結合するチャンネル)がそれぞれ量子系で与えられる「量子ネットワーク」を考察する。量子ネットワーク上で、古典系では実現できない「量子情報処理」を実行するためには、ノード間に量子的な相関を発生させる必要がある。交付申請書記載の通り、本年度は、次の2つの課題に取り組んだ:(1) フィードバックループの構造は与えられたものとして、ノード間の量子相関を強化するフィードバック制御器の効率的な設計法を与える。(2) 量子情報分野へのシステム制御理論適用の様々な可能性を探るとともに、考案された量子制御理論の物理的実現法を、実験も含めて検討する。得られた成果は以下の通りである。 (1) 注目する線形系に対しては、量子相関は「共分散行列」で一意に指定できる。共分散行列の、制御入力のもとでの時間変化はシステム制御理論において従来より詳細に調べられており、とくに所望の共分散行列を指定する「共分散行列指定制御問題」として定式化され解が得られている。この結果を利用して、線形量子ネットワーク上に所望の量子相関を発生させるためのフィードバック制御機構の設計法を得ることができた。可解性、具体的な応用は次年度において検討する。 (2) 量子情報実装の際に欠くことのできない道具が、量子誤り訂正である。本年度は、とくに量子情報の保存「量子メモリー」の実装を行う際に起こるであろうエラーを、ダイナミカルに訂正するフィードバック制御機構を理論的に定式化し、その有効性を確認した。量子メモリーは量子相関を利用することでその精度を高めることができるが、その相関の強化も行われていることが確認されている。また、本年度、量子フィードバック制御の有効性を具体的に検証するための光学実験系構築のための準備を整えることができた。次年度は、理論・実験の両面から課題解決を試みる。
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Research Products
(8 results)