2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21760336
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
山本 直樹 慶應義塾大学, 理工学部, 准教授 (40513289)
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Keywords | システム制御理論 / 量子系 / フィードバック制御 / 量子光学 / 量子情報 / 量子相関 / 量子メモリ |
Research Abstract |
本研究では、ネットワークの構成要素がそれぞれ量子系で与えられる「量子ネットワーク」を考察する。交付申請書記載の通り、本年度は次の3つの課題に取り組んだ:1.ノード間にロバストな量子相関を生成するフィードバック(FB)制御器の設計法を与える。2.系の安定性が量子相関に及ぼす影響を調べ、FBループ構成法の一般的指針を与える。3.量子情報分野へ適用可能な制御理論の可能性を探るとともに、その物理的実現法を実験も含めて検討する。得られた成果は以下の通りである。 1。とくに光の量子相関を、「量子メモリ」であるイオンやナノ振動子などの固定系へ転送する枠組みにおいて、メモリの量子相関をロバストに生成するためのフィードバック制御機構を考案し、その効果を検証した。結果はPhys.Rev.A(85巻、022303頁)に掲載された。本結果は、その有効性が広く認知されているLQG制御法を量子情報の体系へはじめて適用したものであり、意義深いと考える。 2.アプローチを変更し、そもそも、いわゆる「純粋な」つまりもっとも望ましい量子相関を生成するようなシステムがもつべき性質を特徴づけることを出発点とし、実際に、完全な特徴付けを得ることに成功した。結果はPhys.Rev.A(85巻、022103頁)に掲載された。さらにこの結果を拡張し、いかなるフィードバック制御を行えばこの条件を満たすことが可能であるか、これについても完全な特徴付けが得られた。結果はPhil.Trans.Roy.Soc.Aに掲載決定している。 3.測定機構を含まない「量子コヒーレントFBネットワーク」の、とくに「スクイズド状態」を生成するシステムを、東京大学・工学部物理工学科・古澤明教授の研究室にて実験的に構築することに成功した。結果は、IEEE Transactionon Automatic Controlに掲載決定している。他方、光学干渉系の大域的な位相ずれを補正するフィードバック制御機構の理論構築を行い、さらにそのシステムを、申請者の研究室にて実験的に実現した。本結果はさらなる発展が見込め、現在、追加検証中である。餓
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Research Products
(16 results)