Research Abstract |
本研究では,混和材料を単一,もしくは複合的に用いたコンクリートの時間依存変形挙動,収縮ひび割れ発生および進展について,任意の使用材料,境界条件のもと時系列で予測可能な解析システムの構築を最終目的にしている.本年度は,高炉スラグ微粉末,フライアッシュを混和したモルタルの養生温度敏感性,水分逸散,乾燥収縮特性に着目して実験的な検討を行った.本年度の主な成果としては,高炉スラグ微粉末,フライアッシュを混和し,高温養生などで水和を促進すると,10nm以下の緻密な空隙が増大し水分逸散が抑制されるものの,微視的な空隙の水分逸散に伴う表面エネルギー増大の影響が卓越し,少ない水分逸散でも収縮が増大することが分かったなどが挙げられる.また,高炉スラグ,フライアッシュを複合的にセメントと置換したモルタル供試体でも同様の検討した結果,高炉スラグよりフライアッシュの方が水和反応の温度敏感性は強く,高炉スラグとフライアッシュ混合系の場合は,水和の進行に対する周辺温度の影響がスラグ単体で用いた場合より大きいことが分かった.本成果より,混和材を用いた場合,マスコンクリートで考えると,水和熱で高温となる内部と水和による熱が外気に放出され冷めやすい表層部とでは,水和の進行,空隙構造,収縮特性が大きく異なると予想され,温度ひび割れや収縮ひび割れ発生に影響をもたらす可能性があるため,解析システムによる検証が重要であると考えられる. 最終年度である平成22年度は,混和材を用いたコンクリートのクリープ特性,強度発現についても検討し,収縮ひび割れ発生に支配的な要因について実験的に検討する.その成果と本年度得られた知見を解析モデルへ組み込み,検証を行い,実験,解析の両面から研究を進める予定である.
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