2009 Fiscal Year Annual Research Report
フライアッシュによるアルカリ骨材反応抑制対策の実用化研究
Project/Area Number |
21760346
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
田中 泰司 Nagaoka University of Technology, 工学部, 助教 (40377221)
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Keywords | アルカリ骨材反応 / フライアッシュ / 混和材 / 抑制対策 / シリカフューム / 高炉スラグ / 細孔溶液 |
Research Abstract |
近年、アルカリ骨材反応を抑制するため、フライアッシュや高炉スラグ等の混和材による抑制対策を活用することが期待されている。そこで本研究では、種々の反応性骨材、混和材、セメントを組み合わせ、アルカリ環境レベルと骨材反応性に応じた混和材の抑制効果を実験的に確認した。その結果、アルカリ骨材反応を抑制するために要する混和材の添加量は骨材の反応性やアルカリ環境レベルに影響されることや混和材の種類による抑制効果の違い、セメントの種類による膨張量の違いがあることが示された。また、混和材の抑制機構を検討するため、細孔溶液分析を行ったところ、混和材のASR抑制機構のひとつとしで混和材がアルカリ分を吸着・消費するという抑制機構があり、その吸着・消費量は混和材の種類によって異なることが示された。 混和材の抑制効果を実験的に確認するには長時間を要するため、実用に際しては短時間で混和材の抑制効果を確認できる何らかの方法が必要である。本研究では骨材の反応性の化学分析とモルタルの膨張過程を予測できる数値解析モデルのハイブリッドによってこの問題が解決可能だと考え、既存のハイブリッド法であるU.F.O.モデルを改良・拡張し、混和材の効果が評価可能なモデルの構築を行った。事前の予想通り、フライアッシュとシリカヒュームの抑制効果はアルカリの消費だけでは表現できないことが示されたので、適当な低減係数を設定することで各混和材の抑制効果を表現できるようにした。種々の実験結果によって修正U.F.O.モデルの検証を行ったところ、計算結果は実験結果とおおむね整合した。また、このモデルでは長期的な膨張挙動を予測できるので、アルカリ骨材反応に対する性能照査の実現の可能性が示された。しかし、初期アルカリ量や材齢によっては誤差が大きくなる場合があるので、今後も実験結果の再現性を向上させるためモデルの改良が必要である。
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