2010 Fiscal Year Annual Research Report
フライアッシュによるアルカリ骨材反応抑制対策の実用化研究
Project/Area Number |
21760346
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
田中 泰司 長岡技術科学大学, 工学部, 助教 (40377221)
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Keywords | アルカリ骨材反応 / フライアッシュ / 混和材 / 抑制対策 / シリカヒューム / 高炉スラグ / 細孔溶液 |
Research Abstract |
近年、アルカリ骨材反応を抑制するため、フライアッシュや高炉スラグ等の混和材による抑制対策を活用することが期待されている。当該年度では、混和材によるASR抑制機構を解明するために、モルタルの細孔溶液の抽出と成分分析を実施した。550MPaの圧力でモルタルを圧搾し、絞り出した細孔溶液の元素組成をICPで定量分析した。その結果、フライアッシュや高炉スラグといった混和材をセメントに添加すると、細孔溶液のアルカリ量が減少することが明らかとなった。このことから、混和材のASR抑制機構のひとつとして、混和材がアルカリ分を吸着・消費するという抑制機構があり、その吸着・消費量は混和材の種類によって異なることが示された。また、混和材の組み合わせ使用が抑制効果に与える影響について、モルタルバー法により試験をしたところ、混和材の抑制効果はおおむね足し合わせ可能であることが明らかとなった。組み合わせ方法を工夫することによって、強度等の性能を保持したまま、ASRの抑制を図ることが可能になると期待される。 混和材の抑制効果を実験的に確認するには長時間を要するため、実用に際しては短時間で混和材の抑制効果を確認できる何らかの方法が必要である。そこで本年度は、骨材の反応性に関する化学分析方法について検討を行った。既往の化学法に基づき、浸漬時間と溶解シリカ量の関係を求めたところ、反応が収束に至るまでは、時間に比例してシリカが溶出することが確認できた。この結果と、カナダ法によるモルタルの膨張量との関係を比較したところ、両者の温度依存性はアレニウス則で整理されることが示された。また、アレニウスプロットの傾きは両者で大きく異なることから、溶解シリカ量と膨張量は一意に対応しないことが明らかとなった。骨材の粒径の影響については、従来、反応量は表面積に比例すると考えると整理できるとされていたが、今回の化学分析によって、従来言われていたほど粒径の影響はないことが示された。
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