2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21760347
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
山口 明伸 鹿児島大学, 理工学研究科(工学系), 准教授 (50305158)
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Keywords | 電気防食 / 犠牲陽極方式 / 金属溶射 / 復極量 / 防食電流 / 防食基準 / 防食効果 |
Research Abstract |
本研究では、犠牲陽極方式の電気防食工法を、腐食因子の浸透を抑制するための塗装としての役割に防食効果を加えた「新しい高機能塗装」ととらえ、その適用性を検討するとともに、最適システムの構築を目指している。平成22年度は、昨年度の検討により高い防食効果が得られたAl-Zn-In(アルミニウム・亜鉛・インジウムの擬合金)被膜による陽極材を中心に、その最適な施工方法や各種要因が防食効果に及ぼす影響について検討した。主な成果は以下の通り。 (1)表面処理工法の影響:Al-Zn-Inを溶射金属として用いる場合には、その高い反応性のために防食開始直後から過剰な防食電流が供給され、その際に生じた腐食性生成物等の影響で溶射膜に浮きや剥離が生じ、長期的には防食効果が大幅に低減することが懸念されるが、ブラスト処理、粗面化処理、封孔処理等の適切な表面処理を施すことにより、初期の過剰な防食電流の発生を抑制し長期的な防食効果が期待できることを確認した。 (2)各種要因の影響:温湿度、塩化物イオンの有無、鉄筋量、かぶり、等の影響について検討を行った。 その結果、(1)防食電流は、コンクリート中が湿潤で塩化物イオンが存在する場合に供給され易い、(2)湿潤環境下では鉄筋量が多いほど防食電流量が多くなるが、復極量は同程度である、(3)湿潤環境下では通電期間が長くなると内部鋼材の周辺環境の影響で、防食電流量が減少する、等の影響が確認された。 (3)防食基準の考え方:犠牲陽極方式の電気防食工法では、内部鋼材の復極量が必ずしも防食基準100mVを満足しない。ただし、これは防食効果が無いことに直接つながるものではないため、適切な防食基準の設定が求められる。
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