2009 Fiscal Year Annual Research Report
疲労を受けるコンクリート構造物の鋼材腐食に対する影響因子の特定
Project/Area Number |
21760351
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
林 和彦 Yokohama National University, 工学研究院, 特別研究教員 (20334633)
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Keywords | ひび割れ / ひび割れ幅 / 鉄筋コンクリート / かぶり / 塩害 / 耐久性 / 内部損傷 / 物質移動 |
Research Abstract |
鉄筋コンクリート部材の曲げひび割れが塩害による鋼材腐食に及ぼす影響を把握した。小型供試体を用いた過去の実験により疲労載荷がひび割れの進展や腐食に対して悪影響を及ぼすことを把握しているため、ここではこれまでよりも寸法を大きくした桁高がおよそ300mmの供試体を用いて基礎的な検討を行った。所定の載荷を行った後、塩水による乾湿繰り返し実験および、樹脂注入によるひび割れの内部損傷の把握実験を行い、腐食へ与える影響およびそのメカニズムの推定を行った。実験のパラメーターは、かぶりの大きさ(30mmから100mmまでの4段階)のみとした。載荷条件は、実構造物の載荷状態を考慮して、活荷重相当の載荷後、除荷を行い死荷重相当の載荷を保持することとした。腐食発生の判定は自然電位により行った。 腐食促進実験の結果においては、かぶりが70mmまでは、かぶりの増加とともに腐食開始時期が遅くなり、既往の知見と同様の結果が得られたものの、かぶり100mmのものがかぶり30mmと同じ程度の期間で腐食が開始した。これは、相対的にみてかぶりの増加が耐久性に悪影響を与えることがありうる結果を示している。 内部損傷の把握実験の結果においては、かぶりの増加とともにひび割れ間隔、表面ひび割れ幅の増加が生じ、さらに、かぶりが100mmのものはひび割れの内部において、鉄筋近傍のひび割れ幅が、他に比べて大きくなっていた。 以上より、基本的にはかぶりの増加はこれまでの知見と同様に物質移動抵抗性の向上に伴う耐久性の増加に対して寄与しているが、過度に大きなかぶりを用いると、鉄筋近傍のひび割れ幅が大きくなることで局部的な腐食の発生に繋がるケースがあることを示した。鉄筋コンクリートのひび割れ部の腐食に対するかぶりの機能が十分に発揮できるかぶり厚さには最大値があることが示唆された。
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