2010 Fiscal Year Annual Research Report
月面探査ローバーの走行性評価と走行最適化制御システムの開発
Project/Area Number |
21760374
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小林 泰三 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教 (10380578)
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Keywords | 土質力学 / 月面探査 / 探査ローバー / テラメカニクス / 制御 |
Research Abstract |
近い将来の実現が検討されている月探査計画において、無人で広域の探査を行なう探査ローバーの開発が急務とされている。本研究では、探査ローバーへの実践的貢献を目的に、1)車輪と月面地盤との相互作用に関する力学モデルを構築し、2)沈下やすべりを起こしにくい車輪構造を提案するとともに、3)十分な走行性を確保するためのフィードバック制御法を開発し、そのシステムを次期月探査計画(SEENE-2)に提案しようとするものである。 本年度(平成22年度)に実施した研究の主な成果は以下の通りである。 ・不整地における車輪型探査ローバーの走行性を確保を図るための「車輪荷重等分配制御法」を提案し、機構解析シミュレーションによってその有効性を確認した。ここに、車輪荷重等分配制御とは、各車輪に作用する荷重が常に等分配(車体全体荷重/車輪数)されるように走行中の地盤性状に応じて車輪を上下させる制御法であり、地盤表層の凹凸等による一部の車輪への荷重集中とそれに起因する走行性悪化を回避することができるようになると考えられる。 ・上述した車輪荷重等分配制御を可能にする車輪型移動ロボットを試作した。本モデル機には、6個の剛性車輪が配置されており、各車輪に取り付けられたステッピングモータによって、また、車輪に連結されたリニアアクチュエータによってそれぞれ回転と上下運動(フィードバック制御)が車輪毎に独立して行えるようになっている。 ・提案する走行制御法の有効性を確認するために、人工的に凹凸形成した砂地において走行実験を行った。その結果、制御なしの状態では、地盤凸部に遭遇した車輪に大きな沈下が発生し、結果として車両全体の走行が途中で困難になったのに対し、制御を施した場合にはスリップすることなく滑らかに走行し、提案する制御法による砂質不整地における走行性の改善効果を確認することができた。
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