2009 Fiscal Year Annual Research Report
油の地盤汚染および原位置浄化機構の解明に関する研究
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21760375
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
椋木 俊文 Kumamoto University, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (30423651)
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Keywords | LNAPL汚染 / X線CT法 / 模型実験 / 面像解析 |
Research Abstract |
2003年に土壌汚染対策法が施行され,有害物質使用特定施設の廃止時等における土壌調査が義務付けられたことによって,有機溶剤による地盤汚染事例が顕在化している。殊に,水よりも密度が小さい有機溶剤はLNAPL (Light Non-Aqueous Phase Liquid)と称され,地下水面の上部に滞留し,地下水の動きに影響されながら汚染域を拡大すると考えられている.汚染過程においてLNAPLが不飽和帯にどのように浸透し,また浄化過程においてどの程度浄化され,そして残留するのかを把握することは重要課題であり,模型実験による可視化や数値解析による現象解明の研究が進められている。本研究では,まずLNAPLの地盤汚染機構を解明することを目的として,LNAPLの三次元浸透挙動をX線CTを用いて非破壊で可視化し,その定量的評価を試みた。実験手順としては,最初に初期地盤のX線CT撮影を地盤表面から底部まで1.0cm間隔で行った。LNA肌を位置水頭3cmで注入し,LNAPL注入後の地盤のX線CT撮影を地盤表面からLNAPLの浸透領域が確認されない深さまで行った。LNAPLの注入とその後のX線CT撮影はもう一巡繰り返し,累積100mLのLNAPLを注入した。本実験でLNAPLとして用いたアクアソルベントG(アクア化学製)はイソパラフィンを主成分とした物質で,安全性が高く,実験に供するのに適したものである。X線CT撮影では,撮影地盤断面上の湿潤密度に比例したCT値というパラメータが得られる。本研究では,X線CT撮影によってCT値を求める一方で,X線CT撮影後に地盤内のLNAPL飽和度の測定を行い,CT値とLNAPL飽和度の関係を求めた。それにより,X線CT画像上のCT値の分布からLNAPL飽和度の分布を求めることを可能とした。その結果,地盤内でのLNAPLの浸透挙動は水飽和度の影響を受け,特に水飽和度20%以上の深さへの浸透は抑制され,水飽和度が小さい地盤浅部で水平方向への浸透が発達することが分かった。また,高飽和度のLNAPLの浸透領域も地盤浅部に形成されることが分かった。.
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