2010 Fiscal Year Annual Research Report
油の地盤汚染および原位置浄化機構の解明に関する研究
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21760375
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
椋木 俊文 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (30423651)
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Keywords | LNAPL汚染 / X線CT法 / 模型実験 / 画像解析 |
Research Abstract |
本研究の目的は,油汚染地盤問題を対象として,地盤材料内部における油と油の汚染地盤中の浄化剤の3次元輸送挙動をX線CT法を用いて可視化し,多相流数値解析による定量的評価を行うとともに,工学的用途に応じて,原位置油浄化・修復技術を創生することである. 平成22年度では,前年度に作成した模型実験装置を利用して浄化プロセスまでを考慮した揚水模型実験を実施し,模型地盤のCT撮影を実施した。また、2010年に導入されたマイクロフォーカスX線CTスキャナを使って、間隙のミクロ構造を可視化し、油の残留状況を可視化するとともに、地盤材料内部の油の残留分布状況をより客観的に可視化する画像解析手法の開発に取り組んだ。22年度に得られた成果は次のとおりである。 1)地下水揚水による油の浄化性能には吸引圧・パイプ直径が影響している。吸引圧を大きく設定することで負圧の影響範囲を拡大することができ、回収量、回収速度の性能向上ができる。またパイプ直径を大きくすることで回収速度の性能向上ができる。 2)CT画像上の模型地盤の中心から半径方向に同心円を拡大し、その円周上のCT値の積分値を評価して求めた、平均CT値による油浸透領域の可視化は実験結果に即した妥当なものであり、パイプ直径の違いによって傾向や形に差異がでる。 3)EMアルゴリズムを用いて油と水が混在する各物質のピークを示さないCT値ヒストグラムに対して頻度解析を実施し、客観的に油の領域を特定することに成功した。 上記に示す通り、研究期間内に本研究の目的である多相流数値解析による油による地盤汚染・浄化領域の定量的評価にまで至らなかったが、この研究過程において、模型地盤内の油の残留分布を非破壊で特定でき、またその量を統計的手法を用いてより客観的に定量評価が可能になったことが、平成22年年度の1年間で得られた研究成果である。
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Research Products
(4 results)