2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21760376
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
中川 啓 Kagoshima University, 農学部, 准教授 (90315135)
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Keywords | トレーサ試験 / 分散長 / 移流分散過程 / 室内実験 |
Research Abstract |
地下環境における物質輸送を決定する重要なパラメータに分散長がある。本研究ではこの分散長を環境負荷の小さい熱(水温)をトレーサとして非破壊で評価する手法の確立を目的とした。研究期間は2年間とし、初年度に熱およびそれ以外のトレーサを用いた室内実験、次年度に数値計算による評価を行い、最終的に本手法の確立と現場へのスケールアップを目指し研究を進めることとした。初年度である平成21年度は、赤外サーモグラフィーカメラの導入が遅れ、また当初考えていた方法による熱画像の取得が困難であったため、実験装置のさらなる改良が必要になったので、水温トレーサ実験によるデータ取得は、試行のみ行い、実際の解析に使用するデータの取得は行わなかった。しかし、同じ実験水槽を用いた不飽和条件下の分散長評価および大隅降下軽石層を対象とした分散長の評価を試み、それぞれ妥当な結果が得られている。まず不飽和分散長については、縦・横分散長が土壌水分量に依存すること、水分量が低下すると縦分散長が大きくなる傾向であること、横分散長/縦分散長は1/100~1/1000に分布すること、縦分散長は流下距離に応じて大きくなる傾向があることを明らかにした。また大隅降下軽石層を用いた場合は、充てんした試料が均一ではないので、分散長がかなり大きくなり、室内実験規模でも明らかなスケール効果が確認された。当初計画のうち、染料・低濃度塩水をトレーサとする実験だけは実施することができた。次年度においては、ただちに熱(水温)輸送実験を行い、そのデータの解析および数値計算による評価を行うことで当初の目的を達成できるものと考えている。
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