2009 Fiscal Year Annual Research Report
砕波に伴う渦の3次元性を考慮した底質の細部移動構造に関する研究
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21760391
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
鷲見 浩一 Kanazawa Institute of Technology, 環境・建築学部, 准教授 (10314048)
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Keywords | 海岸工学 / 砕波 / 斜降渦 / 海岸侵食 / 可視化水理実験 |
Research Abstract |
海岸侵食を防止する新しい漂砂制御方法を構築するために,海底砂の移動を引き起こす渦について検討した.3次元性の強い現象である斜降渦の沿岸方向の分布形態,ならびに渦による乱れの影響が強く反映されると考えられる砕波時の岸沖・沿岸・水深方向の流速の3成分を実験的に計測した研究は少数である.したがって,斜降渦の沿岸方向の発生形態と砕波時の3成分の流速分布については,不明な点が多いのが現状である.本研究は,斜降渦の沿岸方向の発生形式を検討すとともに,砕波時の岸沖・沿岸・水深方向の3成分の流速分布特性を斜降渦の発生形態と関連づけて考究した.その主要な結論を以下に示す. (1)砕波に伴い発生する斜降渦は,単一の渦と回転方向の相異なる1対の渦に大別できた.1対の斜降渦は,撮影領域内で同一な入射波の内部に3組まで確認することができた.沿岸方向に1対の斜降渦が複数組発生する現象は間欠的であり,両ケースにおいて1対の斜降渦が1組,2組,3組発生する確率は,発生する渦の組数が多くなるほど低下した. (2)沿岸方向に1対となって発生する斜降渦は,砕波の進行過程で,2つの渦の渦軸が特徴的な3つの形式となることが判明した.すなわち,波の変形過程で1対の斜降渦の渦軸の間隔が短縮する形式,1対の斜降渦の渦軸の間隔が短縮し交差する形式,1対の斜降渦の渦軸の間隔が変化しない形式の3形式である.両ケースにおいて,1対の斜降渦が1組形成される場合に,渦軸が接近する形式と渦軸の間隔が変化しない形式の発生確率は,それぞれ約1割であった. (3)沿岸方向の流速成分の鉛直分布は,入射波の砕波過程に伴って変化した.砕波時から砕波後における時間経過において,沿岸方向流速の鉛直分布は,波前脚部周辺から海底面近傍へ向けて流速を増加させながら不規則となる領域を拡大させた.これは,斜降渦の海底面へ向けての発達に影響にされたものであると考えられる.
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Research Products
(6 results)