Research Abstract |
解析には,茨城県波崎海岸に位置し(独法)港湾空港技術研究所が所有する波崎海洋研究施設にて計測された地形断面データ,および鹿島港沖にて計測された波浪データのうち,2001年1月から2005年12月(5年間)までを用いた.汀線位置は,地盤高が満潮位の高さを有する岸沖方向地点と定義した.汀線位置の季節変動は,既往の研究と同様に冬季から夏季にかけて前進し,秋季から冬季かけて後退する傾向が見られた.汀線位置の平均変化速度は-0.01m/日であり,平均の前進速度,後退速度はそれぞれ0.85m/日,-1.36m/日であった.ここで,前進時,後退時の閾値をそれぞれの平均変化速度としてイベントを抽出したところ,全体への割合は33%,25%であった.停滞時のイベントは変化速度が-0.5m/日以上0.5m/日未満として抽出した,次に,沖波波浪特性について検討を行った.解析期間中の平均有義波高,有義波周期はそれぞれの1.31m, 8.10sであった.6段階に区分された周波数別波浪からエネルギーフラックス(以下,Ef)を算出し,その半均値を解析した結果,後退時は周期10.7s~14.2sのEfが他の周波数帯のそれに比べて2倍以上大きいことがわかった.後退時には平均周期に比べてやや長い周期が卓越していたと推測される.停滞・前進時のEfは,周期10.7s~14.2sのEfが周期8.0s~9.8s,周期4.3s~7.5sのそれに比べてやや大きかった.さらに,停滞時におけるそれぞれの周波数帯での平均Efを用いて後退時および前進時のEfを無次元化した.後退時のEfは,停滞時に比べて周期16.0s~25.6sで約6倍,周期32.0s以上,周期10.7s~14.2sは約4倍の大きさであった.一方,前進時については,周期16.0s~25.6sのEfを除き停滞時のEfよりも小さいことがわかった.
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