2010 Fiscal Year Annual Research Report
自動車の共同所有・共同利用による過疎高齢集落におけるモビリティ向上の可能性
Project/Area Number |
21760399
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
川本 義海 福井大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (20334807)
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Keywords | 自動車相乗り / 過疎高齢集落 / モビリティ / 共助 / 住民の主体性 / 交通弱者 / 持続可能性 / 地域づくり |
Research Abstract |
(1)カーコーポラティブ・カーシェアリングの海外先進事例調査 福祉先進国スウェーデンで約40あるカーコーポラティブ、カーシェアリング組織の中でももっとも大きな企業の一つである「Sunfleet Carsharing」、協同組合の「Goteborg bilkoop」、スウェーデン交通庁へのヒアリング結果から、環境対応の視点また車両の多目的化が重要であり、また過疎高齢地域における事業としての成立を可能とするための他の福祉事業も含めた地域協働の具体化の必要性を確認した。 (2)過疎高齢集落住民の自動車の共同所有・共同利用に対する意識実態調査 住民へのヒアリングをおこない、住民のモビリティならびに経済的負担などについて把握した。その結果、現在運行中の共助型の自治会輸送活動に対するニーズと評価は高く、マイカーという移動手段を持たない高齢老のモビリティ、とくに医療面で支えるものであること、また費用についても現行程度もしくはそれ以上でも妥当という判断がされていることを確認した。一方で自動車の共同所有という意識はまだ薄く、今後継続的にサービスをおこなう上でどのように位置づけていくかさらに検討すべき点であることを明らかにした。 (3)過疎高齢集落住民を対象としたモビリティ改善の可能性検討 過疎高齢集落住民のモビリティ改善において、車の共同所有・共同利用は都市部のそれとは異なった形態、すなわち経済性や効率性という事業立脚型の運営ではなく、コミュニティ立脚型の地域サービスの一つとして展開するとともに、既存の集落組織を生かした地域密着型のあらたな交通の仕組みづくりが重要であることが明らかにできた。ただしその基盤となる資金面をどのように確保していくかは今後の大きな課題であり、集落や周辺地域の経済活動にも寄与しまた還元される総合的な取り組みにしていくことを提示した。
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