Research Abstract |
まず,世界の主要国の国公式,あるいは,港湾協会等公式機関の港湾貨物統計データを全般的に収集した.国公式統計が収集できたのは,米国,カナダ,メキシコ,ブラジル,日本,香港,台湾,韓国,マレーシア,EU,トルコ,イスラエル,メキシコ等,公的機関に港湾統計が確認されたのは,中国,フィリピン,タイ,ヴィェトナム,オーストラリア,南アフリカ等であった.シンガポールやオマーンは,全分野統計書の一部に,港湾貨物データの記載が見られた.アルゼンチン,UAE,スリランカ等は,港湾貨物統計書の存在が確認できなかった.これらの統計書について,データの定義等を確認することにより,使用における留意点をまとめた他,市販の統計データとの比較を行った. また,収集した港湾貨物統計の中で,比較的精度が高いと想定された日本・韓国・台湾・香港・米国及びEU(イギリス・ドイツ及びオランダ)のデータについて,相手国別貨物量データ(トン)の二国間比較により,その精度評価を行った.その結果,データ定義を合わせれば,全貨物量の差は,2~3割程度の範囲内になることが判った.これは,筆者らの既往の研究におけるコンテナ貨物量の差(高い精度を持つ国間で2~3割の差,精度の良くない国を含めると,その差が,大きいと倍半分にまで広がる)と同程度であった. さらに,ケーススタディとして,データの取得が東アジアの中でも相対的に困難と思われるミャンマーの港湾統計データを収集した.加えて,データ収集や統計作成の方法について,税関,MPA(ミャンマー港湾公社),民間ターミナルの関係者ヘヒアリングを行った.その結果により,税関統計に基づく港湾貨物量の中に,バイアスと思われる課題が確認されたことから,MPAデータや,平均的な貨物比重値等を用いて,この補正を試みた.
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