2011 Fiscal Year Annual Research Report
水処理プロセスにおけるニトロソジメチルアミンの挙動解明と紫外線分解の検討
Project/Area Number |
21760414
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小熊 久美子 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (00361527)
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Keywords | 浄水処理 / 紫外線処理 / ニトロソジメチルアミン / 消毒副生成物 / 塩素消毒 |
Research Abstract |
河川水と地下水のニトロソジメチルアミン(NDMA)汚染実態調査を行うとともに、それらを原水として浄水工程で塩素を添加した場合に生成しうるNDMAの最大値をNDMA生成能と定義し、河川水と地下水でNDMA生成能に相違がみられるか調べた。また、紫外線照射によるNDMA分解特性を明らかにするため、低圧ランプ、中圧ランプ、エキシマランプを用いた分解実験を行った。その際、試料に溶存有機物と硝酸性窒素を添加し、水中の共存物質が紫外線によるNDMA分解に及ぼす影響を検討した。さらに、NDMAを紫外線分解した後に塩素消毒を施した場合にNDMAが再生成する可能性について実験的に検証し、NDMA除去手段としての紫外線処理の有効性を検討した。 東京近郊の河川水からは0.4ng/L未満~5.8ng/L(中央値2.2ng/L,n=18)、地下水からは0.4ng/L未満~5.2ng/L(中央値1.3ng/L,n=23)のNDMAを検出し、水道原水に含まれうるNDMAのおよその濃度範囲を明らかにした。概して、河川水に比べ地下水のほうがNDMA濃度は低く、また、遊離塩素添加によるNDMA生成能も河川水に比して地下水は小さかった。 NDMA100ng/L溶液に紫外線を照射した結果、分解速度定数はエキシマランプが最も大きく(8.7cm^2/J)、次いで低圧ランプ(2.7cm^2/J)、中圧ランプ(2.3cm^2/J)となった。共存物質を添加した系では、いずれのランプでも分解速度定数が低下し、特に硝酸性窒素によるエキシマランプの分解阻害が著しく大きかった。これは、エキシマランプの発光波長(222nm)が硝酸イオンの吸光波長に一致し、吸光阻害を受けやすいためであると推定された。また、NDMAを紫外線分解した試料に塩素を再添加しNDMA生成能を測定した結果、いずれの条件でもNDMAは再生成しないことが示された。
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Research Products
(2 results)