2010 Fiscal Year Annual Research Report
オゾン消費およびOHラジカル生成評価を目的とした水質のキャラクタリゼーション
Project/Area Number |
21760415
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
水野 忠雄 京都大学, 工学研究科, 助教 (00422981)
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Keywords | オゾン / OHラジカル / 水質のキャラクタリゼーション / 有機物分画 / 反応速度 / 量論関係 |
Research Abstract |
本研究では、水質のキャラクタリゼーションのために樹脂による有機物の分画を行い、それらのオゾンとの反応性などを評価している。得られる画分は、疎水性酸(HoA)、疎水性中性(HoN)、疎水性塩基(HoB)、トランスフィリック(Trs)、親水性酸(HiA)、親水性中性(HiN)、親水性塩基である。本年度は、昨年度確立した分画手法に、さらに脱塩操作を加えた。これは、オゾン反応実験への影響があると判断したためである。 各画分について、ラジカルスカベンジャーの有無によるオゾン反応実験でのオゾン濃度の結果から以下のような特徴が得られた。HoA、HoN、HoBは、スカベンジャーが存在することによって最終的にオゾンの消費量が多くなった。ただし、反応初期の消費量にはほとんど違いがないことから、これらの画分は、OHラジカルとの反応も速く、この反応によりオゾンとの反応の遅い成分へと変化していると考えられた。Trs、HiA、HiNは、スカベンジャーが存在することによりオゾンの分解は遅くなった。HiAはオゾンとの反応が速くまたラジカル連鎖反応への寄与が大きい、HiNはオゾンとの反応は遅いがラジカル連鎖反応への寄与が大きいと考えられた。Trsは検討している中では中程度のオゾンとの反応速度を持ち、ラジカル連鎖反応への寄与は大きいと考えられた。HiBはスカベンジャーの有無によってオゾンの分解速度は変わらなかった。このため、OHラジカルを生成しない、もしくはOHラジカルとの反応性が低くオゾンとの反応性に変化を起こさないと考えられた。 このように画分をオゾンおよびOHラジカルとの反応性から特徴付け、定量的評価の精度を上げることによって、オゾン反応機構の解明および最適な制御につながる。
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