2010 Fiscal Year Annual Research Report
高温L-乳酸発酵を用いた未利用有機物の機能性飼料化
Project/Area Number |
21760418
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
赤尾 聡史 鳥取大学, 工学研究科, 助教 (30448196)
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Keywords | Bacillus coagulans / L-乳酸 / 発酵飼料 / 生菌剤 |
Research Abstract |
飼料化可能な未利用有機物に高温L-乳酸発酵というアクセントを加えることで,飼料保存性と栄養分の易分解化(飼料利用性改善),付随効果としてプロバイオティクス効果を期待した.本年度は,(1)発酵物の保存,(2)乳酸発酵をより進めるためスターチの乳酸化,(3)高温L-乳酸生成菌による飼料利用性の改善に関する検討を行った.(1)L-乳酸発酵完了後の発酵物保存に関する検討では,乳酸を段階的に添加した多糖を含む培地(初期pH5.5)に腐敗生ごみ雑菌を植菌し,30℃・疑似密閉系で経過を観察した.その結果,初期乳酸濃度を5%程度まで高めておくことで7日間乳酸濃度が維持できることを確認した.発酵物保存の観点からは,乳酸濃度を少なくとも5%まで高めておく必要があると考えられる.ところで,乳酸5%は充分に対象物を発酵しないと至らない濃度である.(2)乳酸発酵を少しでも進める目的で,多糖の乳酸化に関する検討を行った.高温L-乳酸生成株(単離株を含む)9株に対してスターチのL-乳酸化を試みたところ,いずれもL-乳酸生成を確認できなかった.スターチ糖化を他菌に担わすことも考え,高温環境下で生育可能なアミラーゼ誘導株の単離を試みた.Aneurinibacillus thermoaerophilusなど3株が単離できたが,高温L-乳酸生成株との共培養でスターチからのL-乳酸生成に至らすことはできなかった.多糖の乳酸化には課題が残った.(3)高温L-乳酸生成菌による飼料利用性の改善として,タンパク質分解を評価した.インゲン豆を試料とし,高温L-乳酸生成株を植種し培養(55℃)した結果,SDS-PAGEによりタンパク質の低分子化を確認した.レクチンおよびトリプシンインヒビターの低減化も僅かながら観察できたことから,飼料利用に好ましくないタンパク様物質は高温L-乳酸生成菌(高温L-乳酸発酵)により分解できる可能性が指摘できた。
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