Research Abstract |
本研究では,高アルカリ性である都市ごみ焼却残渣をCO_2固定化担体と捉え,清掃工場から排出されるCO_2を可能な限り吸収させ(炭酸化処理),廃棄物部門からのCO_2排出削減に貢献することを目的とした。 まず,都市ごみ焼却灰の最大CO_2吸収量を検討した。試料をPE製バットに薄く敷き,含水率を0,30,および50%となるように純水を含水させて混練後,デシケータ中でCO 2(99.99%)を湿潤通気させた(通気流量:300ml/min)。経時的に試料をサンプリングして炭酸含有量を測定するとともに,環境庁告示第46号法試験(JLT46)を行った(測定・分析項目:アルカリ度,pH, EC, Ca, K, Na, Pb, Cd, Zn, T-Cr)。なお,炭酸含有量については,1M H 2SO 4で炭酸を加熱遊離後,Ba(OH) 2溶液にトラップさせ,0.1M H 2SO 4で滴定して測定した。 焼却灰のCO 2吸収量は含水率によって異なり,30%の時が最もCO 2を吸収していた。また,従来の炭酸化処理に関する研究(焼却残渣中の重金属を不溶化させることを目的とした研究)でのCO 2吸収量と比較し,約3~5倍のCO 2を吸収することが示された(約1.2~2.0mmol-CO 2/g-dry ash)。次にJLT46溶液のアルカリ度とCO 2吸収量の関連を整理した。試料ごとのバラつきが大きかったものの,ある程度の相関が認められたことから,焼却灰のCO_2吸収量については,アルカリ度が指標となり得ることが示唆された。 以上より,量的な面での炭酸化処理の有効性が示されたことから,炭酸化反応効率の向上を目標として,CO 2溶解水を直接,焼却残渣に含水させて処理を実行し,処理時間の短縮可能性を引き続いて検討中である。
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