2010 Fiscal Year Annual Research Report
都市ごみ焼却残渣の炭酸化処理による二酸化炭素固定化に関する研究
Project/Area Number |
21760420
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
崎田 省吾 県立広島大学, 生命環境学部, 准教授 (80398099)
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Keywords | 都市ごみ / 焼却残渣 / 二酸化炭素 / 炭酸化処理 |
Research Abstract |
本研究では,高アルカリ性である都市ごみ焼却灰に二酸化炭素を吸収させ(炭酸化処理),上向流カラム通水試験によって浸出水水質と炭酸化処理の長期的な効果の持続性を検討した。実験には,都市ごみ焼却灰(d<2mm)を試料として用いた。内径43mmのアクリルカラムに炭酸化処理,または未処理の試料を高さ300mmまで充填した(充填密度1.5t/m^3)。通水速度は12±2mL/hに設定し,飽和状態を維持しつつ通水を上向流で行った。通水溶媒には純水を用いたが,液固比(以下,L/S)が累積で20以降は,pH4の硝酸に切り替えてL/S30まで通水した。その結果,炭酸化処理焼却灰の浸出水pHは廃止基準(pH5.8-8.6)を初期の段階から満たし,pH4の硝酸に切り替えて通水しても,大きな変化は認められず安定していた。 また,埋立前処理として焼却灰に炭酸化処理を実施した場合における維持管理期間の推定と簡易LCA評価を実施し,環境負荷低減の可能性を考察した。(1)炭酸化処理せずに埋立,(2)炭酸化処理後に埋立,の2つのシナリオについてLCCおよびLCCO_2を算出した。人口20万人規模の山間最終処分場で,焼却灰のみを15年間埋立処分した場合を想定し,閉鎖から浸出水pHが廃止基準を満足するまで(維持管理期間)を検討した。考慮した項目は,維持管理作業における電力費,燃料費,薬品費,人件費および施設整備補修費である。維持管理期間は,カラム通水試験(0<L/S≦20)で得られたpH値とL/Sの関係を,指数近似して推定した。その結果,炭酸化処理灰では,未処理灰と比較してLCC,LCCO_2がそれぞれ約6割削減できると推定された。ただし,本結果は閉鎖から廃止までをシステム範囲としているので,炭酸化処理施設の建設・稼働分は考慮されていない。今後は,システム範囲を焼却処理まで拡げて評価する必要がある。
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