2009 Fiscal Year Annual Research Report
オゾン処理によるN-ニトロソジメチルアミン前駆物質の構造的特徴
Project/Area Number |
21760423
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Research Institution | National Institute of Public Health |
Principal Investigator |
小坂 浩司 National Institute of Public Health, 水道工学部, 主任研究官 (60370946)
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Keywords | N-ニトロソジメチルアミン(NDMA) / オゾン / 副生成物 |
Research Abstract |
N-ニトロソジメチルアミン(NDMA)は、発がん性物質として知られている。近年、一部の化学物質は、オゾン処理によるNDMA前駆物質であることが報告されているが、その化学構造についての情報は限定的である。本研究では、市販あるいは合成した6物質をオゾン前駆物質候補として選定し、NDMA変換率について検討を行った。マトリックスとして地下水を用い、対象物質濃度は1μM、PHは7の条件で、回分式の実験で検討を行った。対象6物質のいずれの場合も、オゾン注入率0.25、0.50mg/Lで、NDMAの変換率はほぼ一定であったことから、今回のオゾン注入率は反応に十分であった。両注入率の結果を平均したところ、対象6物質の変換率は8%~89%であり、選定した対象物質は全てオゾン処理におけるNDMA前駆物質であることが示された。中でも、ホルムアルデヒドジメチルヒドラゾン、2-ホルミル-1,1-ジメチルヒドラジン、アセトンジメチルヒドラゾンの3物質のNDMA変換率は、既往の研究より高く、それぞれ89%、85%、84%であった。また、それ以外の3,3-ジメチルカルバジン酸メチル、1,1,4,4-テトラメチル-2-テトラゼン、1,1-ジメチルセミカルバジドの3物質は、比較的NDMA変換率は低かったが、それでも、それぞれ8%、19%、21%であった。しかし、1,1,4,4-テトラメチル-2-テトラゼンは、その構造からすると、NDMA前駆物質としての反応部位が2つ存在していると考えられたが、それほど大きな値ではなかった。2-ホルミル-1,1-ジメチルヒドラジンと3,3-ジメチルカルバジン酸メチルのNDMA前駆物質としての反応部位は類似しているが、変換率が大きく異なったことから、反応部位の周辺の化学構造が、変換率に影響していることが示された。
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