2010 Fiscal Year Annual Research Report
オゾン処理によるN-ニトロソジメチルアミン前駆物質の構造的特徴
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21760423
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Research Institution | National Institute of Public Health |
Principal Investigator |
小坂 浩司 国立保健医療科学院, 水道工学部, 主任研究官 (60370946)
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Keywords | N-ニトロソジメチルアミン(NDMA) / オゾン / 副生成物 |
Research Abstract |
N-ニトロソジメチルアミン(NDMA)は、発がん性物質として知られている物質である。今年度は、昨年度対象とした6物質(ホルムアルデヒドジメチルヒドラゾン、2-ホルミル-1,1-ジメチルヒドラジン(FDMH)、3,3-ジメチルカルバミン酸メチル、1,1,4,4-テトラメチル-2-テトラゼン(TMT)、1,1-ジメチルセミカルバジド、アセトンジメチルヒドラゾン)を対象に、オゾン処理によるNDMA変換に及ぼす共存物質の影響について検討した。OHラジカル捕捉剤である、t-BuOHの共存影響について地下水を対象に検討したところ、TMT以外は、NDMA変換率への影響は認められなかった。この結果から、これら5物質は、オゾン分子との反応によってNDMAへと変換していることが分かった。一方、TMTの場合、t-BuOHの共存により、変換率は19%から47%へと増加し、またt-BuOHを添加しない場合と添加した場合で、pH7と8で比較したところ、t-BuOHの有無によらず、その変換率は変わらなかった。したがって、TMTのオゾン処理によるNDMAの生成では、OHラジカルが生成抑制反応に関与していると推測されたが、pHの影響も考慮すると、OHラジカル以外の物質の関与も推測された。FDMHとTMTについて、対象水の差異(地下水と河川水)やt-BuOHの影響について検討を重ねたところ、FDMHはこれらの影響によらずNDMA変換率は80~90%でほぼ一定であった。一方、TMTの変換率は対象水とt-BuOHの組み合わせによって19%~55%に変化した。得られた結果から、TMTの変換率の上限は、60%弱であると考えられた。このとき、対象水が地下水の場合、t-BuOHを添加することでTMTのNDMA変換率は増加したが、河川水では変化しなかった。したがって、オゾン処理によるNDMAの生成に対し、FDMHは共存物質やラジカル類に影響を受けにくく、TMTはそれらによって変換率が影響を受ける場合があることがわかった。
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Research Products
(1 results)