2010 Fiscal Year Annual Research Report
水環境試料を対象とした医薬品代謝物の機器分析法の開発および適用
Project/Area Number |
21760424
|
Research Institution | National Institute of Public Health |
Principal Investigator |
島崎 大 国立保健医療科学院, 水道工学部, 室長 (60322046)
|
Keywords | 医薬品 / 代謝物 / 機器分析 / 水環境 |
Research Abstract |
医薬品原体として解熱鎮痛剤のアセトアミノフェン(AAP)、抗てんかん剤のカルバマゼピン(CBM)、消炎鎮痛剤のジクロフェナク(DCF)の3物質、代謝物としてアセトアミノフェングルクロン酸抱合体(AAP-GuL)および硫酸抱合体(AAP-SuL)、カルバマゼピン10,11エポキシ体(CBM-EPO)、ジクロフェナク4'水酸化体(4'OH-DCF)および5水酸化体(5OH-DCF)の5物質を対象として、昨年度までに開発したLC/MS/MSを用いた高感度同時分析法を用い、下水処理および浄水処理過程の対象物質濃度の測定により、それらの除去効果や水環境中の存在状況について調査を行った。下水試料中の対象物質濃度を測定したところ、AAP-GuLを除く7物質が全試料から数十ng/Lからμg/Lレベルで検出され、医薬品原体と同程度の濃度で代謝物が下水処理水中に存在していることが明らかとなった。浄水場の工業用水系原水からはAAP-GuLおよびAAP-SuLを除く6物質が数十ng/Lレベルで検出され、上水系原水及び浄水からもCBMおよびCBM-EPOが同程度で検出されたことより、医薬品原体だけでなく代謝物が水道原水に存在し、また浄水中に残留する可能性が示された。 本研究の結果より、下水及び水環境中に医薬品代謝物がその原体と同程度の濃度で存在する可能性が明らかとなり、その中にはCBM-EPOのように原体と同様の薬理活性を有するものもあることから、今後、水環境における汚染の全体像や挙動を把握し、有効適切な処理方法を明確にすること、また、水環境中における水生生物等への影響の有無を評価することが必要である。
|
Research Products
(1 results)